9/30東京大千秋楽@Zepp DiverCity TOKYO(その二:お色直し後)

 随分放置してしまいましたが、お色直し後を…。(そのさらに前半。一眠りしてまた後で再開する,予定)→追記しました。
 

  • その前に、Random Number。イツァーク、とても丁寧に歌ってくれた。このナンバーは、それまでだと、叫ぶように、マイクから声がはみ出るのが暴力的に混じって、それはとても刹那的で胸を揺さぶるんだけれど、千秋楽は、そのバランスが破滅的じゃなかった。ちゃんとコントロールされた声で(に聞こえて)、私は逆にぐっと来ました。
  • で、登場する姐さん。完璧です!脚の露出ってことでいうと、お色直し前の方がたくさん見せてるんだけれど、ホットパンツと膝上ロングブーツから覗くむちむちの綺麗なおみ足がたまらなくセクシーです^^ あれだけの身体能力、特にジャンプ力、筋肉隆々の厳つい脚でも良さそうなものなのに、いや十分筋肉は発達してるのに間違いないのですが、お尻振り振りして歩く後ろ姿見たら、太もものお肉、ぷるんぷるん美しく振動してるんですよね〜とっても肉感的で可愛らしい太ももで、何でなんだろう不思議〜!って毎回思ってしまいます。ごつごつしてないんだよなあ。もしや森山未來は筋肉も自在にコントロールしてる?
  • いつものように、何だったら座ってもいいわよ、と(うっとり)。もちろん立ってても良いんだけどね(うっとり)。何だか前列センター付近、私も含めてさっさと座るの躊躇われてしまいました(苦笑)。だって吸い込まれそうでさー姐さんがさー美しくてさー。そしたら、そのドギマギしてる前列に目をくれて姐さん、「やっぱり座りましょうか^^よく頑張りました☆」って言ってくれて、ああ〜もう優しい姐さん!って何なのそれ、いっそう落ちちゃうじゃない(笑)。
  • トミー。客席に背を向けて語るトミー。声は紛れもなくトミーなのに、うなじから肩から背中から…もう姐さんの切なさが滲み出てる。声はトミーで姿はヘドウィグで…まさに一つの身体で同時に二人の人物を表現してる。なんてこった。すごいよ君は。目が心が引きつけられる。大千秋楽、この時のトミーの声が、今まで聞いた中で、映像のトミーに最も近かったように思いました。言い換えると、姿としてのヘドウィグに最も遠かった…。
  • だからこそ、振り返って言う「彼には名前をあげた。トミー・ノーシス…」という、ヘドウィグの声と身体を取り戻した言葉が際立つ。でもこの後、舞台の姐さんは、彼此の境をとても危うく行き来するんだよね…。
  • 壁にトミーの姿が映し出される。映像の中のトミーが語り出す。上にも書いたけれど、映像中に収録されている別取りのトミーの声は、何だかとても幼くて迷いがなくて儚い印象を与えて、いつもは、やっぱり舞台で聞く声とは違うなあと思ってきたのです。うん。でも、大千秋楽は、その違いがとても小さかった、ように思ったのです。舞台上の彼の冷静さ…のようなものも感じて、またまたグッと来てしまった。もう、どこでもいろんなスイッチ入ってしまいますよ(苦笑)。
  • The Long Gift。どういうつもり、ねえペテン師くん…。途中で歌わなくなる姐さん。でも、私ここのイツァークまりこと永友さんのデュエット、とーっても好き!二人のハーモニーぴったりだしすごく胸に響きます(涙)。後半、階段上の姐さんが、髪を解く手を止めて、ハイトーンでハモリを入れる……というかほとんどマイクを離して美しい地声だけでハモってるのが、とーーっても好き(涙)。ああもう一度聞きたいよう!
  • で、その横座りがとてつもなく美しい。と…。

ちと中断します)→ここから再開します。

  • 大千秋楽、Corpseでみんな立ちました。私は、この曲は、ヘドウィグの武装ーー武装で成立していた「ヘドウィグという存在」ーーが崩壊していく様を歌うもので、イツァークを「自分を破壊する」と表現して揶揄していた姐さんが実は誰よりも自己を破壊する臨界点を内包していたことを示す、とても象徴的な歌だと思うんです。なのでヘドウィグのその様をまんじりともせずに見つめたくって、立ってノリノリする気になれないから、最初は立たなかったんです…が周りみんな立って、そうすると2列目でも見えない、まんじりと見ることも叶わない…ので最終的に立ちました(苦笑)。
  • Wicked Little Townリプライ。喉は、渋谷初期の絶好調なロングトーンは無かったけれど、絞り出すように叫ぶように呼ばうように歌うトミーの歌声と言ったら…(涙)。歌が声に重なる。心に重なる。この人の歌は、ホントにいつも頭と心の双方に響きます。姐さんを苦しめた知恵と知識という二元が、彼の歌声を聞くと一元化する。
  • でもこの時、いつも密かに副乳の痕跡を探してしまう私を許して欲しい。
  • 姐さんのWicked Little TownとトミーのWicked Little Town、見事に呼応してるのが泣けます。そして、それぞれ楽曲内部でも呼応関係をもつ。それぞれの曲が「カタワレ」でありながらも「全体」である。ヘドウィグの物語そのものを象徴してるところに魂を鷲づかみにされるよう。
  • 例えば、曲の内部で呼びかけられる「君」が、両方の歌で、自分と相手双方を指すようで両者の境界が判然としない。相手に歌いかけるようでいながらその実自分にも歌いかけているし。「わたし」と「ぼく」という一人称のみが一つの視線を提示してるけれど、それすらも固定した何かを示すわけではない…。Long Giftの前に(だったよね)ヘドウィグが、「え?それとも私が?」と自問自答する言葉を聞いた後だと、歌の力がいっそう強まって…。
  • 一人遊びをしてるイツァークがトミーを見つける。イツァークは性別を持たず、それだけで完全体、つまりカタワレを必要としない人間と位置づけられていた。「一人遊び」も、他を希求しない渇望しない、ということを表していたのかも知れないですね。で、そんなイツァークにだからこそ、トミーとヘドウィグの双方が見えたということなのかな。彼女の導きで、トミーとヘドウィグの境界が解き放たれる…というか、その境界は多分双方の内部にあった境界なんだろうけれど。
  • トミーとヘドがカタワレ同士として一つになったんじゃなく(2枚のジグゾーパズル、じゃなく)、それぞれがカタワレのままで、それぞれが完全になった…うまく言えないけれど、カタワレを求める前に、自分の中にこそ求める自分自身があった。
  • 塗りたくった蛍光塗料が、Midnight Radioで再び彼女が立ち上がったときに、「塗った」のではなくむしろ「はぎ取った」ように見えたのも、すごい演出だと思いました。
  • この頃には、真後ろの男の子、すでにボロボロ泣いてたなあ。私は睨み付けてた、です。泣きそうだったしそれまでには泣いたけれど、ここでは泣かなかったです。目が乾くかと思うくらい睨み付けてた(多分怖い顔してたと思う)。
  • (というのは位置的にですね…次に何が来るか想像するのが怖かったというのもあります…)
  • で、最初で最後でした。客席にゆらりと乗り込んだ彼が、私の挙げた手をガシッと掴みました。はああ…。ごめんなさい。この瞬間、何かがぶっ飛んでしまいました(苦笑)。
  • 彼がここで客席に乗り入れる様が、どうしても「飛び込む」とは違うように思えるんです。波に身をゆだねる、乗り入れる…舞台冒頭で、私とあなたたちとの間のこの壁、と、舞台と客席を区切って見せたヘドウィグ。ラストの彼女の前には、もう客席と舞台の間には何の壁も無いようにみえます。飛び込む、飛び越える、ような衝撃的な動作は一際せずに、まさに「ゆらり」と身体を傾かせたかと思うと、そのままの姿でずいずいと入ってくる。
  • イツァークの真っ白の衣裳。ラストのヘドウィグ(トミーでもいいんだけれど)の黒い巻物と、呼応し合うんですよね。だから、何となく今回の2012年ヘドウィグでは、男でも女でもない存在として、二人が磁石のNとSのような二極に配置されたのかな、ともチラリと思いました。片方は生まれたときからそうで、もう片方は人工的にそうで。ただ、それだと、性差が無いこと=完全であること、になる陥穽をはらむので(つまり、ヘドウィグの物語前の設定のママ、物語が進まないことになる)簡単には言えないんだけれど。29日に一緒に見た初見の友人は、ヘドウィグの片割れは実はイツァークだったように見えた、と言ってました。予備知識が無くって、素直に見ればそう見えるのかも知れないね。もしかして、その効果も狙ってた?大根さん。撹乱戦術ですか?
  • アンコールの、トミーver.ティアミーダウンが好きすぎます!しかも大千秋楽では、JUON君も登場!!ピンクの大きな睫毛をつけて、格好いいったら無い!
  • 「千秋楽なので、さっき紹介できなかったもう一人のメンバーを紹介します」。「JUON!!!」と未來が叫んで、JUONくんが現れて、二人軽く目配せして、ああもうね、仲の良さがピカピカ光ってましたよ。大好きな友達だ出てきてくれて嬉しい嬉しいオーラが炸裂してた。ああ、なんて可愛いロックスター。
  • メンバー紹介の間、ずっと踊ったりヘドバンし続ける彼から目が離せませんよ(涙)。そのどの瞬間を切り取っても美しい。途中で、マイクスタンドを掴んでいつものマイケル風ポージング。私にはマイケルよりずーーーっと格好良く見えるのですよ、ごめんなさいそういう目になっちゃってて。
  • でもこの時、照明さん、彼にスポット当ててくれなかったな〜〜残念!
  • まりこちゃんが、「あなた方はロックの神様を信じますか。ロックの神様を信じますか。私は信じます。なぜなら見たからです。このお台場に、ロックスターがいたことを!神様が、舞台の上で踊ったり歌ったり、そうするためにお星様を授けました。」と言ってくれて、もう涙涙です。「みんな一つになろう一つになろう。一つになるために足りないものがある。それは森山未來のダンスや。森山未來のダンスが足りない!」って続けて煽って。その間中、舞台てっぺんの階段上で、頭を下に向けて大きく脚を開いてヘドバンしていた未來氏。ライトが当たってその瞬間から、クネクネと上半身をグラインドさせるようなダンス。ああうまく表現できない!その後、板の上におりてきて、何度かジャンプ→旋回を繰り返してました。もっと見ていたい〜〜(涙)
  • 一旦全員が掃けて、拍手が鳴り止まない中、もう一度全員が舞台上に整列。その時点で阿部ちゃんと誰だっけ?JUONくんだっけ?がもう持ち場についてて(散れ!の前にね)、それを見て笑ってる未來はんも可愛らしかったです。
  • そしてそして、最後の最後に、森山未來verのアングリーインチ!!これがもうたまらなかったです!ロックスターの声だった歌だったパフォーマンスだった。で、あの言葉ですよ(涙)。
  • あやふやな記憶だけれど、「2012年ヘドウィグの間中、私の心と体からは血が流れていました、ずっと血が流れていました」と。渋谷千秋楽で「私はもうヘドウィグを生きるしかないのです」と叫んでた言葉を思い出して、うぐぐとなりました。そして、ヘドウィグの「おま○こなんか一度も無かったところに盛り上がるこの1インチの肉の盛り上がり」という言葉から続けて、「ち○こなんか一度も無かったところにも1インチの傷跡(肉の盛り上がり)があるでしょう」と彼が言い出したときに、あ、彼は自分の独白だけじゃない、これから私たちにメッセージを投げかけようとしてる!って思って、背筋に何かが走りました。そして「あなた方全てが持つその傷跡を、愛でるのか嫌うのか」と。男でも女でもどっちでもいい、すべての人の中にヘドウィグがいることを、彼ははっきり口にして、それから目を背けないことを彼自身の身をもって示そうとした。
  • 歌声はとても軽やかで甘いのに、やっぱりこの30ステージとそこに至るまでの彼の道のりが凝縮されていて、ずしんずしんずしんと響きました。ああでも、本当に聞けて良かった!!ありがとーー。
  • スガさんが呼び込まれたのは、ティアミーダウンの後だったかしら、どうだっけ。「すごいね〜ちょっと泣きそうになっちゃったよ」と言いながら未來さんの腰の辺りに手を回す姿。二人が手を取る姿。歳は離れていても強い信頼感に結ばれた姿。感無量です。スガさんだけじゃない。大根さんだって太整さんだって、大きな仕事をいくつも抱えた売れっ子クリエイター。そんな人たちの時間をまるまる一ヶ月獲得して、ともに一つの作品を作っていく。今回の舞台なんか特にそうですよね。集まった人たちはみんな、森山未來のために集まったというような側面が強いわけで…。そして、彼自身が誰よりも我が身を削って削って作品のために献身することを、その人たちはみんな知っている。彼のためなら一肌脱ごうと皆を思わせてしまう求心力。28歳の青年が、そこまでさせてしまう。ただただ脱帽です。

 

 あとはもう放心状態。
 台風が近づいてる不穏な空気も相まって、何だかいろんな水際を実感させられた、です。
 もう少し時間が経ったら、またいろいろ思うのかも知れないし追加の記憶も出てきそうなんだけれど。ツイッターでつぶやいたこと,今回は全然反映させてないので、もしかしたらそこら辺は後で補充するかも知れません。
 
 ともかく、ヘドウィグに会えたこと色んな神様に感謝します。特にロックの神様。ありがとうございました〜