『塀の中の中学校』

 良質なドラマでした。淡々として、過度にお涙頂戴に走らない抑制された作りに好感を持ちました。それでもやっぱり泣かされるんだけれど。
 2時間半という時間で分校生一人一人の変化を描ききることができないのはもちろんしょうがないですね。そんな中、龍神くんのエピソードは感動的でした。川田希望の内面の変化は、もっと時間をかけてもらってもよかったかな。荒っぽい血気盛んな人間だった、という辺りがあまり描かれてなかったので、大河が「“穏やかだ”という言葉はおやじとは無縁だった」というのが少し唐突だったような気も…。
 でも、でも、謙さんと未來さんの対面の場面は、役者の力でもの凄く雄弁だった。不安げな表情で会いに来た大河、うなだればつが悪そうでうちひしがれているぎこちない最初の対面が、二度目は自信をもち、堂々と「よだかの星」を読んで聞かせる父と、思わず涙腺を決壊させる大河……。二度の面会のそれぞれの違いが、親子二人の関係の確かな変化として見事に描かれていました。希望は確かに大河の父になっていましたよ〜(涙)。
 未來氏の、頭を乱暴に掻いて、涙を溜めて「よかったな、おやじ」という姿には泣かされました。彼の唇が小刻みに震えるのにも。以前は泣いても涙が頬を伝うことが無かったけれど、最近はきれいに涙が流れるようになりましたよね。心を打つ涙でした…。
 
 「よだかの星」には思い出が有ります。
 小学校の時?いや中学校だったかな、昼食時の校内放送で「よだかの星」の朗読が流れたことが有りました。聞きながら教室中が静まりかえり暫くしてすすり泣きの渦、みんな昼ご飯を食べられなくなって、えらい往生しましたよ…。「よだかの星」は、昼食時に放送するのは避けた方がよいと思います(苦笑)。
 
 そういうと、ドラマ公式HP「ファンメッセージ」ページに大河の面会写真が上がってますが、これ、服装は二回目の面会だけれど、シーンは一回目ですね。リハの写真かな…。それ以外にも、よく見ると放映されていないシーンの写真がけっこうHPには上がってます(お習字授業とか)。DVDになったら(なるよね!)未公開シーンなども盛り込まれるかな。大河シーンにあまり追加はないかもしれないけれど、ちょっと楽しみです。