閉塞した家族と、埋め合わせができなかった行人

 今日も長い一日でした。
 朝から隊長が買ってきてくれたルクスタに湧き、いろんな愛の形を語り…語ったかな?(苦笑)まあ、何やら落ち着かぬまま開場を待ったというわけです。もうあのマチネが同じ日のことだとは思えない…。
 
 ソワレは、いつも未來さん舞台を一緒に見る友人と。
 彼はとても未來さんを気に入っているのですが、前々から、歌わず踊らない森山未來が見たいと言い続けていて、今日は念願叶ったり!(笑)随分前から観劇を楽しみにしていたようでした。
 終わった後、また飲みながら色々ああでもない、こうでもないとしゃべりまくりました。

 個別のレポは、もう到底無理な感じ。なので、また全体的な思いつきなどを書きなぐっておきます。文章ひどいだろうなあ…、朝起きて時間有ったら、推敲しますがともかくメモ書きのままで(苦笑)。

 以下、畳みます。





  • 土手で、桃子@亡霊と永太郎とが会話する…。桃子が永太郎に投げつける言葉は、「あっち行ってよ」ではなく(昨日の日記)、「さっさと消えてよ!」でした。
  • 同じく土手で、桃子@生人に永太郎が投げかけるのは、「さっきから花火も見ないで…けんかなんかして」でした。つまり、永太郎はしばらく2人の押し問答を見ていたのよね……。
  • 桃子がゆきちゃんに叫ぶ、「ほら!! …一番追い払いたかった人しか、残っていない!」 ゆきちゃんにとっての赤地。桃子にとっては…。
  • 兼坂部品とテルウチ、向かい合った寸分違わぬ作りの町工場。まさに2つの家は合わせ鏡。閉塞した町、閉塞した家族。閉じた世界の閉じた家族。ゆきちゃんと桃子もそう。合わせ鏡の2人は、閉じた家族の外では生きていけない。文字通り、生きていけない。桃子がゆきちゃんに殺されてしまうのが、彼女の自殺行為に見えるのも、その閉塞感のせいなのかもしれない。
  • 生きるのはくるみちゃん。合わせ鏡の間の細い露地で、彼女が叫ぶ「生きる!」って言葉に、なぜか最近、毎回涙が出ます(苦笑)。
  • あの場に一度も登場せずに、最後まで家族の運命を大きく操る人物、それは亡き父…。その喪失感を皆は勝手な方法で埋め合わせている。妻は、元従業員と再婚し、兄は家を出て独立し…。唯一埋め合わせができなかったのが、行人。ゆきちゃんは、父への喪失感を救いようなくかかえたまま、あの日を迎えてしまった。そして、初めて(たぶん)「おやじ」と辰男さんを読んだ時から、悲劇は回り出す…。いや、違うな、悲劇は、母が元従業員と再婚した時にはすでに回り始めていたのかも。
  • 母が、元従業員と再婚する。現父の辰男さんも母も善意の人なのでカムフラージュされているけれど、考えてみれば、これほど閉塞的な事態の展開ったらない。暖簾を守る、家業を守る…、そのために閉じ込められる家族。
  • テルウチは、家業を守るために、永太郎さんが会社を継いだ。桃子はそれに対して遠慮がある、負い目がある。だのに、永太郎は徹頭徹尾善意の人で、それが余計に彼女を追い詰める。彼女が固執した「証拠」のお金。永太郎が自分の名誉を疑った…それを受けて差し出されたお金に執着した。その善意の小さな綻びに執着した。彼女も「ほんのちょっと先」を考えってことか…。ゆきちゃんが桃子に言う「つくづくいやんなるね〜貧乏ってのはよ!」という茶化したようなことばは、彼女の中の何かを断ち切ったのかもしれない。桃子がゆきちゃんに言う「先なんてとっくの昔から無かった」という言葉が、ゆきちゃんの心の紐帯を断ち切ってしまったのと同様に。
  • 桃子を追い詰めたのは、永太郎の善意。表面的な仲の良い家族を桃子に演出させ、閉塞した家族にうわべの平穏を与えて、行人をどんどん「救いようのない最低最悪の放蕩息子」という役割に追い込む要因の1つは、辰男の善意。…善意が、人を、殺す。
  • ほんとは、ラストの殺しの場面は、エロスが有ってはいけないのかもしれないね…。だって、あの2人は自分で自分を殺してるんだから…。でも、桃子は心のどこかでゆきちゃんを男として好きだったんでしょうね。ゆきちゃんはちっともそんな気はなかったけれど。倉持さんが、どうして桃子をそんな風に位置づけたのか…その意図はどこにあるのかな。永太郎の善意が悪意に転じるのを合理的に導くため?彼女の「証拠」が理不尽であることを見せるため?確かにその事によって、親が工面したお金を数えるゆきちゃんの行為と、彼女が「証拠」のお金に固執する内心とが表裏に符合するようにも思うけれど…。もうちょっと考えよう、あたまがぐるぐるしてきた(苦笑)。

 と、またまた書きっぱなしです…おやすみなさい。