神南の道を歩きながら思い出したこと

 終了後のホールに響いた清志郎さんの歌声に耳をすませてきました。
 数年前、たぶん2005年の4月下旬、連休直前の今日のようなこのキラキラの空の下、代々木公園の野外音楽堂で、偶然に清志郎さんのライブに遭遇したことがあります。桐ちゃんや隊長と一緒に、小津巡りを決行していた最中のことでした*1。何だか随分人が集まってるね…なんて言いながら通りかかった私たちの耳に、聞き慣れたあの色っぽくかすれた歌声が飛び込んできたのです。慌てて柵の方に駆け寄って、何とか中をのぞこうとしたんだけれど、チラリとピンクのパンツが跳びはねる姿が見えたかどうか、もしかしたらそれすら何かの幻想かもしれないのですが、でもあの甘く挑発的でそれでも何だか泣きたいような優しさに満ちた歌声はものすごいリアリティ、まぎれもない清志郎さんが目の前で歌っていました。
 なんとかもっと近づけないかと暫く三人であがいてみたのですが、やはりきちんと入退場は規制されていて、それ以上の接近は叶わず…。でも、歌声は、垣根も包囲も楽々と超えました。新緑の代々木公園、ロッカーの歌声は人々の足を止め、同心円を何重にも描きながら、愉快そうに嬉しそうに風に乗っていました。
 小さな井本を捜す旅の途中で遭遇した清志郎さんの歌声。
 そして4年後の今、クアトロ田村の絶唱清志郎さんの歌声がクロスします。同じ渋谷、音楽堂へと続く坂の途中。
 歩きながら、4年の時間に詰まったあれやこれやを思い出しました…。
 
 清志郎さんがこの愛の籠もった舞台をごらんになったら、きっといつもの照れたような顔でニッコリ笑われただろうな…。
 どうぞ安らかにお眠りください。

*1:今日、隊長に確認できて良かった!