6/2ソワレ@厚生年金会館芸術ホール

 改めて。

 すごかったです。
 東京の前楽ソワレが、私の中では最高に感動した舞台でしたが、それに同等か、いやそれを超えるほどの感動の舞台でした。
 下にも書いたけれど、初っぱなから江波さんの気持ちの入り方が尋常じゃなく、あれよあれよという間に引き込まれてしまいました。
 マチネは仕事で行けず。ソワレのみの参戦でしたが、マチネを見ていた方々からいろいろうかがい、それをきっちり次の舞台のエネルギーに変えて行かれるプロの役者魂に改めて感服しきりでした。


 以下、畳みます。




  • 冒頭の前史シーン、「花嫁」に突き飛ばされて腰を折り、その後ゆっくり起き上がって、カン!と足を打ち鳴らして手を真っ直ぐ差しのばす、その時の表情がとてもとても好きです。感情が臨界点を超えるほどに張り詰めているのに溢れ出さない、そのギリギリのところで、目がキラキラと光る…時々、泣いているの?と思うほどに、目が水を湛えたように光るんだけれど、昨日もそうでした。その美しさに思わず息を呑む。
  • 馬のフラメンコ。本当に、どんどんどんどんと、思いが高ぶって行くのがくっきりとわかるようになりました…。馬上に翻弄され風に身体を預ける、レオナルドの焦燥と苦しみと花嫁への強い愛憎が、彼自身どうにも抑えられない濁流のように高ぶる様が、ものすごくて…。後半の、足のつま先をピンと伸ばし、横に振り上げて手でバシンと叩く、あの姿が大好きです。美しくて激しくて…。
  • 竜巻のように地面に巻き取られて着地した後、やっぱりうめいていました…。
  • ブーツの片方が、途中から下に下がってしまってた。
  • 美しい逆三角形…。脱いだシャツをもう一度頭からかぶったとき、襟がひっくり返ってしまってた。ブーツも片方下がっちゃってるし、なんかホントにボロボロでした…(苦笑)でも美しいんだから、何なんだ、いったい…。。
  • 隊長も同意してくれて、ああやっぱりそうなんだ、と安心したのですが、その後の妻との会話、ここがホントに違ってるんです。言葉の端々に籠もる感情が、強いんです。レオナルドという人物が、ぶっきらぼうでも冷血なのではなく、強く大きな熱い血の持ち主なのがわかる…。それが伝わるんです。でも全体を支配する焦燥は失われては居ず…。ああほんとに文字なんかじゃ、伝わらないよう…(涙)。
  • レモン水を飲みながら、「知らない」という言い方に、ぞくりとしました。その後、花婿の母があまり花嫁を気に入っていないと聞かされて、「そりゃそうだろ、あの女は危ないからな」という、その言葉の投げつけ方も、これまで聞いたような吐き捨てるような言い方じゃなく、声色が抑えられて、苦渋の色が加わって、なんだかとても切ない響というか何というか……。ああ、ほんと文字なんかじゃ全然伝わんないよ〜。
  • 少女にぶつける机。完全に少女を狙ってひっくり返しているのがわかる。
  • 「だがな」じゃなく、「でもな」でした(笑)。私の記憶間違い。でもやっぱり一息で言うのね…。まあずっとそうだけど。
  • 婚礼の朝。皆に祝福される花嫁と花婿を見つめるレオナルド。昨日はすごい目でにらみつけていたけれど、今日はじっとじっとひたすら見つめる目はそこまで睨むようじゃなく、でも悲哀と苦しみと満ちていた。隣で、少し距離を置いて、そんなレオナルドをじっと見つめる妻の辛そうな表情と相まって、レオナルドの愛の所在がどこにあるのかを、決定的に印象づけてた…。
  • 花嫁と花婿が姿を消しても、レオナルドの表情は変わらず。妻に「私たちも行きましょ」と言われても変わらず。小さなホントに小さなささやくような声で「どこへ…」と一言。「荷車で?」で初めて妻を見て我に返る。
  • 妻が哀しげに「わたしだってそうだった」と涙ながらに言うとき、振り返って妻を見つめる目が、諦めとも何ともつかぬ憂いを帯びていて、暗い淵のようで、心の動きがうかがい知れない感じ…。でもそっと妻の肩を抱く手は大きくて美しくて…。すがる妻の心細さが引き立します。離れたくない、よね…レオナルドと。
  • 妻と踊るダンス。昨日よりは見えたけれどやっぱりかぶっちゃうなあ…。くるくるってところは見えず。でも妻の肩を抱いて踊りながらも花嫁をじっと見つめる目は一瞬見えました。
  • 少女が2人を引き離しに来て、寂しそうに笑って妻の手を離す。
  • その前に、レオナルドと少女、すれ違いざまに肩をぶつけてるんですね。少女が立ち止まり、おびえたようにレオナルドをチラリと見送るのが印象的…。
  • なんか、大阪に来て、色白さに拍車がかかってますか?胸元なんて真っ白だよ〜。
  • レオナルドのジャケットの裾、少しほつれてて糸が垂れてるのがちょいと気になる(苦笑)。
  • 花嫁のドレスの裾も破けかけてるし…。レオナルド、引っ張りすぎ(苦笑)。でもそれはまだ先…。
  • 黒い男と月。月に変貌する尾上さんが、もうもう飛んでもない迫力だった…神がかって夜の闇を完全に支配する、異界の存在に変貌しきっていて、目が釘付けでした。新納さんもあの後、肩で息をしておられて、2人の渾身の表現に、ただただ圧倒…。
  • 森のシーン。今日はすごかったです。甘くて哀しくてギリギリでせっぱ詰まって…。夜が死んでいく、は舞台前面に腰を下ろして泣き笑い。こんな前で言うのを見るのは、私は初めて。
  • キスをいっぱいしてた。甘くて哀しくてたまらなかったです。花嫁からレオナルドの唇をついばみにいくところもあって、哀しくて、でもステキだった。胸がきゅんとなってしまった。思わずその後に、花嫁の唇にくらいつく(って変だけど)レオナルドの気持ちわかるよ。そうなっちゃうよね…(苦笑)。
  • 花婿が現れても狂おしく花嫁を求めようとするレオナルド。ちょっとすごい体勢でした。どんどん押し倒していって。えっと、これ見てて良いのかしら…って思っちゃう。でも美しいんだよね。そんなあられもない姿なのに、美しいのはなぜ?品があって美しいのですよ…、本能のままの2人なのに…。身体表現が常に美の中にあるって、やっぱりすごいことだと単純に思う。
  • おおい被さるレオナルドを支えるソニンちゃんの腹筋、すごいなあ…(苦笑)。
  • 花婿はやはりレオナルドのうなじの辺りに手を当ててぐっと顔を引き寄せてます。
  • 葬礼のシーン。花嫁の哀訴、それを痛罵する花婿の母。2人の感情のぶつかり合いがすごかった。花嫁の必死さ、本気さに、圧倒されました…。花婿と一緒にいたかった!その気持ちが溢れ出してた。訴えずにはいられない。でも、暗い川の濁流には逆らえなかった。それも本当のこと。誰が悪いのでもない。この土地のせい。「あなただってそうしたでしょ!」……そうした。絶対にそうしたにちがいないよ。そして「またはじまった」。前史でもあり、現時でもあり、未来でもある。あの時点で女達は、土と血そのものでしかない。思わず、涙が流れてしまいました。理不尽さと無力さに打ちひしがれる破滅の歴史に、いいようのない涙が…。
  • 血を流す女達。花嫁の嗚咽が…。ぶるぶる震えて泣きじゃくってます。…ただこの場面、本当は「個」が際立たない方がいいんじゃないかな、と私なんかは思うんだけれどどうなんでしょ…。それぞれの関係性で感情をぶちまけ嘆きを露わにしていた女達。それが後ろを向いてい存在をベールで隠し、改めて全体となって歴史の語り部になる。そこでは、直前の「個」は封印されていた方がいいのでは?そして自らの手から流れた血をかき集める。そこで始めて普遍としての嘆きが舞台を覆う、そんなバージョンも見てみたいな、と思ったり。ただ、そうするには、「花嫁」の個の感情をソニンちゃん自身が抑えられなくなってるのでしょうね。それもまたとても感動的だしなあ…。むずかしいね。
  • カーテンコールのフラメンコ。くるくるのターンが、少し体勢が崩れのけぞって笑ってました(笑)。最後、渡辺さんとの一騎打ち!ほとんどタップみたいになって、渡辺さんの回りをくるくる回って、すぐ側で足を打ち鳴らし、それに渡辺さんがギターの弦で答え、2人で音とリズムを増幅させあって、じゃ、じゃ、じゃじゃ!でばっちり決まる!すっごく楽しそう嬉しそう!
  • 会場の盛り上がりもすごかった。色んなところから声がかかってた!拍手の渦!!
  • 二回目のカーテンコール。2人が仲良く出てきたところで思わず立ち上がっちゃいました。ブラボー!江波さんに、一生懸命拍手を捧げました!わかってくださったかなあ…(苦笑)。
  • 拍手は鳴りやみません。三度目に出てきた時、未來さん、新納さんの帽子をかぶって出てきて、でもソニンちゃんと合流する直前にそれを落としてしまった(笑)。落とした帽子を拾ってソニンちゃんにかぶせる未來。えっと似合わないよ花嫁衣装に黒の帽子(笑)。でも、ソニンちゃん、それをかぶって岡田さんに「似合う?」みたいな目配せ。微妙な表情の岡田さん(笑)。この時点で会場全体がスタオベです。各所で声がかかり、すごい盛り上がり!私の後ろの人も叫んでたよ(笑)。皆さんニコニコ!充実の笑顔全開、すてきです!
  • しんがりに歩いてぴょこりとお辞儀をする未來さん、かわいいね〜。レオナルドだった人とは思えない(笑)。
  • でもまだ拍手は鳴りやみません。しばらく立って舞台がまた明るくなり、登場したレオナルドと花嫁!舞台中央で、ソニンちゃんを軽く抱き寄せて2人腕を組むみたいなそぶりを一瞬見せた未來さん。達成感を伝え合うみたいでとってもステキだった。
  • 皆さんが揃ったところで、拍手を鎮めるそぶりを見せる未來さん。あ、話すの?!
  • 「どうも皆さんありがとうございます。今日は江波杏子の方からご挨拶させていただきます」といきなり振っちゃいました!江波さん、え?!って驚いてるよ〜。
  • 「皆さん、ありがとうございます。森山さんの地元でできること、嬉しく思ってます」。ここでとーっても嬉しそうに目のないくしゃくしゃの笑顔できゃっきゃっと手を叩いて喜んでる悪戯っ子は、どこのどなたさんですかね〜(笑)。もう、かわいったらありゃしないよ〜(笑)。
  • 江波さんがステキにご挨拶くださって、頭を下げてくださって、思わずこちらもお辞儀をしてしまいました。会場のかなりの人たちがあそこで頭を下げたんじゃないかしら(笑)。
  • それをホントに満足げに、うひょうひょ喜んで手を叩いてるのは、ほんとにどこのどなたですか(笑)。あ〜あ、味をしめちゃった〜。これ、これからみんなに1人づつ回そうなんて思ってないでしょうね!(笑)。いいけどね。回してもいいよ、うん(笑)。こんな嬉しそうな君が見られるなら、それでもいいよ。
  • 終わった後、隣の席の見知らぬ方が、感極まったみたいに「すごかったですね〜〜!!!」と話しかけられて、思わず2人で「ステキでしたね〜!」と語り合ってしまいました(笑)。可愛らしいお嬢さんだったです♪


 すてきだった。
 皆さんに、拍手!