『世界の中心で、愛をさけぶ』行定監督インタビュー。

 録画したものを見せていただけました☆
 監督にとっても、とてもいろんな思い出の詰まった映画であったことがよく伝わってくるインタビュー。原作を読んだときの若干の違和感や距離感が、プロデューサーや脚本家との話し合いの中で、距離が縮まり新しい化学反応を生んで行く、そんな過程を含め、公開から一年近く経ったこの時期だからこそなんでしょう、とても率直に語っておられます。

 
 撮影監督の篠田さんを語ることばに、まず胸を打たれました。「死」に対して、今回は、去る者の視線で見ることができるんだよ*1、という篠田さんの言葉を紹介された時には、思わず息を飲み込んで…。
 アキの車を追って裸足で走るサクー未來くんーをファイダーで覗き、「オーケー!」と叫んだという篠田さん、その言葉が何より信じられたという監督。篠田さんが、衝動で走る姿だから1カットで撮ると言い、「(カメラは)かなり速く追いかけるから思いっきり走れ!」と未來に声をかけ、それに応えて彼が走る…。ファイダーをのぞく篠田さんの目が有るからこそ、彼もまさみちゃんも、あの演技ができたんだ、と。
 あのひたすら走るサクの後ろ姿、監督の一番好きなシーンなんだそうです。


 未來さんについてもたくさん語っておられます。
 端正な顔立ちなんだ、意外とかっこいいんだ、なんて笑いながら言っておられるのに思わずこっちも笑っちゃうんですが…☆うん、間違いなくかっこいいですよ〜。でも、「意外と」ってつい言っちゃう監督の気持ちもわかったり(笑)。


 かつて、いろんな雑誌で未來さん自身が言及していた、彼が監督に叱られた話も出て来ました。自分がどうしたいのか、それが衝動ってことじゃないのか、という監督の言葉が有って、それ以降、彼が「がらっと」変わった、と…。
 これって、2人が、同じ出来事を巡って同じ経験と印象を共有しているってことよね…。強いボールを投げてそれがしっかりと相手の胸に受け止められ、そこから間違いなく新しい時間が流れ始めたことを、2人がともに記憶し忘れていない…。
 一人の役者として、一つの作品を作り上げた仲間として、監督が未來さんを対等に認めて評価してるってことだなあと、ここでも感動。そんな胸に刻み刻まれる仕事をしたいな、なんて、思わず思っちゃたりもして…。
 いろいろ聞いているうちに、行定監督というのは、チームを掌握し、スタッフの力を思う存分引き出すことのできる方なんだということがよくわかりました。スタッフの才能を理解し信じられる人、こんな人が引っ張るチームだから、良い作品を生み出すことができるんだね。これって、誰でもできることじゃないよなあ…いろいろ考えてしみじみ(苦笑)。


 あ、でも、やっぱり優しいお兄さんの表情もちらりと垣間見えますよ♪
 衝動で朔太郎を演じる彼を、ただただ「怪我の無いように」と祈っていた、と。「だって、膝なんて血だらけですよ。本気でこけますから。堤防の場面なんてズボンも破けちゃって…」だそうです(苦笑)。堤防シーン、撮影現場を取材した雑誌などでは、未來さんが制服のズボンを二重に穿いてるのがわかるけど*2、けがしてもけがしても本気で転び続ける彼を、真剣に心配していた監督の気持ちにも、ジーンとします…。


 本気なんやもんな。みんなが本気。やっぱり、それが一番人の心を打つんやね。

 
 録画をくださった女神様、あんがとね〜!
 

*1:今までは残る者の立場からしか見ることができなかったのに、と…。

*2:世界の中心で、愛をさけぶ〜Visual story Book』の、堤防の上であぐらかいてる大きな写真参照(笑)。