七人の恋人 11/19ソワレ 千秋楽

 大阪厚生年金会館 芸術ホール 一階K列
 作・演出: 宮藤官九郎
 出演: 阿部サダヲ  三宅弘城  少路勇介  星野源  宮藤官九郎  尾美としのり  田辺誠一


 ようやく取れたチケットを握りしめ、行って来ました。人出はすごかった。立ち見が出てましたよ。冬の芸術ホールに真夏のアリスの残影はなかったけれど、エドガーがいました。ロビーに、nekoちゃんの報告にも有った通り、見返りエドガー単独の大きなポスターが。思わずしげしげと見てしまいました。

 さて、以下の感想、ちょいと長いのでたたみますね。


 
 ともかく、幕間の、三宅さん、源ちゃん、クドカン3人のバンドがむちゃ格好良かったのに大感動!源ちゃん、ピカピカでした、かっこいいなんてもんじゃなかったよ☆マタニティ時のお三人、特にクドカンさんの出で立ちが、某晴生君のフラッシュダンスにそっくりだったんだけど、あれは東京でもそうでしたか?腰に巻いたひらひらとか、白タイツにカラフルなレッグウォーマー。なんかそれにやたらと気を取られて(笑)。


 オムニバス形式で、なんとなーく緩やかにぐるりと輪環があって、最後に微妙な、あくまでビミョーなオワリ感があります。いい意味で遊びに徹してるから、こちらもハイ終わり〜って感じでノレます。一つ一つのギャグがおかしいというより、冒頭のつかみで、舞台の方針をドカンと見せつけて芝居全体を支配してしまう、空気の作りが絶妙でした。催眠術にかかったみたいに、舞台上が無言でも笑っちゃう。常に笑いがスタンバってました。

 
 役者さん、みんなとっても良かったけれど、私は尾美さんとサダヲさんがツボ。楽しみにしてたのは源ちゃんで、期待通り、彼は可愛いしキレもいいしとってもよかったですけど、ともかくこの2人が凄すぎました(笑)。尾美さん、深いです。いや、確かにドンビキの場面はあったけれど、いやあ、全編通じてのポーカーフェイスのおかしさは、ちょっと類いまれな不思議な味でした。飲み込むのにとても勇気が要る、でも最後までその味が口に残る、みたいな。

 サダヲさん、この方は天性の舞台人ですね。U○KOのひさし、マタニティダンスのインストラクター、ゴスロリのエリカ、もうもう、キャラクターの強烈さと言ったら…。実は、声がもうヒドい状態だったのですがね。あ、それをギャグにしておられたな。UN○Oシーンで、田辺さんに「声は大事だからね!」って。でも、息と言うか呼吸と言うか、身体全体の「管」が台詞を回してるので、ちゃんと舞台の声として台詞が伝わって来ます。喉だけじゃないんだなあ「声」を伝えるのは…ってひたすら感動。台詞回しはダントツでうまかったかと思う、確信をもってそう思う。彼からは森羅万象魑魅魍魎が、指令さえ有ればいつでもどこでもにじみ出して来そうです…。そうそう、カーテンコールで、一人だけ残って何度も深々と挨拶してくださったのにも感動しました。サダヲさん、いいなあいいなあ。
 田辺さんは、予想通りのおかしさ怪しさ。いや、すでに脳内で彼は鴻ノ池先生になっちゃってるので(笑)。そうね、お医者さんコスの時がかっこよくって、かろうじて田辺誠一である事を思い出させてくださいました。
 クドカンは、体調が悪かったのかな、エンディング、すごく辛そうだった、何度も顔をしかめておられました。なんかそれが気になったなあ。痩せ過ぎでは?も少し脂肪がいるよ…。ちょいと痛々しかった。
 うん、楽しめました。


 えっとでもね、正直言うと、この公演、楽しんだけれど、むちゃくちゃ良かったよぉ!と手放しで喜ぶ感じではないのだなあ。ちょいと引き気味のスタンスです私。…うん、そうなのよねえ。この公演は好き嫌いが有るだろうねと、冷めた目で眺めてる自分がいました。好きな人は思いっきり好きで何度も通い、そうでもない人は、一度大笑いして、ああ面白かった!でまあ良しとする。嫌いな人もいるだろうね…。私はどっちかというと、2番目の「そうでもない人」に入るかな。二回見たらもっとわかるかも、とは思うけど、まあこの程度でもいいか、という…。

 役者さんの個性を一見荒唐無稽な芝居に生かすというのは、この演出家の得意な分野なんでしょうね。劇団風のノリとエンターテインメントな遊びが炸裂してて良かったけれど、たぶん、そんなに広い層の観客をターゲットにした芝居じゃないんでしょう。ものすごい観客動員数だけどね(笑)。
 それはそれでアリだと思う。私が、今回の舞台ののドンピシャの観客じゃなかったというだけのことで、そういうこともありますよ(笑)。別の機会で、彼の舞台や映画やドラマは、きっとむちゃくちゃ楽しめることもあるだろうと思う。初見の弥次喜多が抜群におかしかったみたいに。だから、この演出家が、圧倒的なストーリーをもつシェイクスピアをどう演出するかというのはやっぱりとても楽しみなのに違いは無い。そマクベスはもうもうむちゃくちゃ楽しみ。ああ、思い出しちゃった、チケット取れるのだろうか…。年明けですかね、詳細の発表は。ドキドキハラハラ…。