WONDERLAND 8/21 千秋楽

千秋楽の席は、3階のセンターから少し右に振れた位置です。舞台の全体がよく見えます。照明も。

会場には、SAKEの源ちゃんと小島ナッちゃんが来ておられました。アナウンサー率高いなあ(笑)。広末 涼子さんもおられたそうなのですが、私は確認できず、です。
公演中は、胸が詰まることは有っても涙は出なかったのですが、終わって外に出てアンケートを書いて、涙目の桐さんを見た途端に涙が溢れました。なんて青年だろう、なんという仕事をやってのけたんだろう。なんという才能だろう。よくやった。あんなに痩せちゃって・・・。頑張ったね、なんて言いながら、でもそのプロフェッショナルな仕事ぶりに圧倒されてしまうし。もう自分の感情の持って行き場が見つからない。彼を知ってしまったことに感謝したり、おののいたり、喜んだり泣いたり、本当にとんでもない感情に翻弄される一日になっちゃいました。

はあ、何も書けないけど、書けないと書いちゃうのが私の癖です。ごめんなさい、本当に。とりあえず、自分の記録のために、書いておきます・・・。


  • 佐竹先生のゆめのダンス、かわいらしいなあ。好きだなあ。
  • 3階で見たのは二回目ですが、今回やっと、猫のダンスのときの未來さんの登場シーンが確認できました。後ろに置いてあるボックスの、細長い方に隠れてたのですね。そうか。あのキラキラカーテンの時にはすでに潜んでたってことですね。かーわいー。
  • ピエロの子守唄です。今日はこの時にまず胸が一杯になりました。不思議な力を持ったステッキ。でも、たぶん、そのステッキは、もうピエロと一緒には踊ってくれなくなっていたのね、そのステッキを数少ない観客に預けてはなんども踊りを促して来た哀しいピエロのイメージが、勝手に浮かんできてしまいました(以下妄想警報発令中)。ずっと待ち続けて,今日とうとう、そのステッキが反応する心に深い感情をたたえた青年を見つけることができて,生き返ったように踊り出すステッキ、それに振り回されながらも踊り始める青年。このダンスが、今日の未來さんは鬼気迫る迫力でした。スピード感と鋭利な刃物のように空気を切り裂く尖った足先が美しくて・・・。でも、ピエロの手に渡ったステッキは、スイッチが切れたように静まり返ってしまう…。ステッキを抱えて、再び人待ちに戻って行くピエロが哀しくって…。自分の中の豊かな感情の泉に気づきかけながら、また探し物の旅に戻って行く青年も切ない。
  • 花園のシーン。これも、三階から見て、初めて照明がきちんと舞台装置の役目を担っていたことに気づきました。花や蝶ととても伸びやかで優雅なダンスを、嬉しそうな笑みをこぼしながら舞っていた青年、とても美しく腕をキラキラと閃かせ、大きく跳躍して回転して、あ、弾け出されるように、舞台の前に転がり出て来ます。その時に、彼が座っている場所は、四角い白い照明で囲われてる。そこに接した花園が、オレンジや緑の花柄の照明で満たされているのとは、はっきりとした一線を画しています。花の精からは見えている青年。駆け寄ろうとしても、何度もそこに存在する見えないバリアにはじき飛ばされて青年に近寄ることができない…。
  • 上のこのシーン。大阪と違っているような気がします。大阪では、未來さん、足の動きで花園から出て行くのを表現しておられました。敷居をまたぐような動作があったような記憶。確かに、転がり出た所がすでに花園の外ということなら、もう一度敷居をまたぐ必要はないですもんね…。
  • 芋虫!安川先生が上品にアリスのブラウスの裾をつままれるの、大好きです。その後、指でくるりと自分へ視線を誘導しようとされるのもおかしい!尾沢さんは、とってもかわいい!近頃は、未來さんの髪の毛を引っ張っておられますね。うきゃー。
  • ボロボロの片肌脱ぎ、今日はちゃんと髪も乱れてましたね。昨日はあんまり乱れてなくってちょっとご不満でした。
  • 双子の三輪車を引き止める時、首の細いスカーフを引っ張るときの、こっくり俯いた未來さんの姿勢が好きです。俯いてるのとってもかわいいんだもん。WBの製作記者会見前の楽屋に置いてあったモップで遊ぶ、未來&ゆうま&プティの写真が有ったけれど、あの時、ポケットに手を突っ込んで、やっぱりコックリ俯いてる未來さんの横顔と姿勢にそっくりで、一瞬遠い目になるんです(苦笑)。
  • 怒りのダンス。アリスに怒りの感情の痛さを伝えるダンス。暴力的に、破壊的に、踊るアリス。でも、やっぱり綺麗なんだなあ。本当の怒りがもつ苦しみを伝えるには、彼の踊りは綺麗すぎるのかな・・・むしろ、怒りから解かれて、ぼこぼこに殴られクルクル回転しながら翻弄されるダンスの方が怒り後のダンスの方が似合ってるような気がしたり。
  • お茶会、おかしいよなああ。中川先生さいこうです!とってもおかしい。大きなお目目をぎょろり!度を超してますから!宇田先生の未來さんの太ももなで上げ、上からだと良く見えますが、え?そんな所まで手が伸びてますか!なーんて言ったりして。いえ、太ももの内側に手が伸びてましたよーってことです。かわいいもんですか?
  • お茶会のお片づけ。いつまでもお茶飲んで、茶瓶を頭に乗せてる二人に、佐竹先生がさっさとトレイに乗せろ!って怒ってます(笑)。おかしいよ〜。
  • キノコのタップ。もう、毎日毎日変化するし、変化の仕方が高度過ぎて、とてもじゃないけど書くことができません。ひたすらひたすら楽しげなキノコ。それに巻き込まれて心の底からの笑みを浮かべて、イーッて感じで笑いながらタップを踏む未來さんがかわい過ぎです。かっこいいです。義さんのかけ声がかっこいいし!オガッチさんのタップも正確でチャーミングだなあ。双子ちゃん(じゃないけど)のタップももちろんバッチリすてき。タップ踏んでるときの上半身、喜始さん決まってますよ!大好き。未來さんのソロタップもかっこよかったぜ!イエイ!
  • そうだ、思い出した。タップシューズを手渡す前、キノコは靴の匂いを嗅いでました。渡されたアリスも、頭のつむじを見せて匂い嗅いでました(笑)。
  • お祭り鳥の後に、ゆめが、ものすごいジャンプでついて行きます。昨日から。上空で足をバタバタってさせるのは、昨日のソワレからかな。思わず笑っちゃう。佐竹先生すてき!
  • カードを切るトランプの男と自分との間にある深い断崖。照明で両岸が表現されます。感情を司るトランプの男側の岸に、小さな飛び石を越えて行く青年。境界を飛び越えた後の彼を待っているのは、沼なんですね、試練ですね・・・。ああ、思い出すだけでドキドキする。


この後、黒アリスですが、空腹に耐えかね、すこし何か食べることにします。。。ちょっと休憩。

続き、行きます。がんばれ自分。どっか変な気もするんだけど、ともかくそんな気分。よっしゃ!

  • 眠りの中のアリス。天井から見てたら、舞台上の定位置で横になる未來さん。まだライトも当たっていない状態なのに、ゆっくりとまるで演技中のようにしなやかに指先まで神経を集中させた状態で横たわっているのがわかりました。昨日のマチネでは、同じ所で、ダンス中のような指先の動きで暗転の中左手を下ろす未來さんが見えました。この絶対に手を抜かない姿を見たら、いったいこちとらどうすればいいですか?
  • 青年よりも先に起ち上がるもう一つの自我。その安川先生のダンスが、今日は胸に迫りました。操られるように踊る青年。自我は彼から離れた所で踊っています。何度か夢の中で覚醒しその自分におののく青年。自我無しに踊る仮面の集団の隊列を乱しながら遡ります。そこで、青年がぶつかりそうになるのが、安川先生演じるもう一人の自我です。自分の影に遭遇し一瞬ひるむ青年。その時の安川先生が、泣いているかのような、まさに「絶望」としか表現しようの無い表情を浮かべておられるのに、いつも心臓がキリキリします。仮面の中で他力に踊らされて夢遊する自分の内面が、絶望にしか通じないことを、そこで青年は知る、のかな…。
  • でも、知るだけでは越えられない。青年の葛藤は続きます。もがきは続きます。照明で浮かび上がる檻。そこから出ようとしても何度も引き戻される。檻の中の空気をたぐり寄せて胸にかき抱くのが、どういう意味なのか…。檻の中にいた過去の自分との別れ、かな、という気がするんだけど、どうでしょう。檻の中で感情の動きも人に預けているのは、それはそれで楽で居心地のいい場。でも、そこに、もう二度と自分はもどらない、という決意。決意の苦しみを表現している、という風に解釈…してもいいですか。
  • あの、仰向けに顔をゆっくり下ろして倒れ込み、すぐ横を向く。ほんとうにこの時のみらいさんほどきれいなものはありません。でも、時間がほんとにあっという間。すぐ終わる。あって思ってるうちに角度は変わり・・・。
  • 何度も繰り返される、喜怒哀楽のダンス、そのテンポがどんどん速くなる。断崖を本当に越えるために自分と闘う青年、暴れています。そうかと思うと、ずっと静止したままの姿勢が限界点ギリギリで、きれいすぎるほど痛いです。
  • 暗転して、ゆっくりと黒いマントを脱ぎ捨てる青年。苦しい闘いが終わりました。確かに、自分の心の中の声に耳を傾けることができるようになった青年がそこにいます。ここで、泣きそうになりました。でも、だめ、泣いたら見えなくなる。胸が詰まる。
  • 闘いを終えた青年の表情。まっさらに生まれ変わったみたいに、孵化したみたいにまっすぐの目、表情です。髪は汗でぐしゃぐしゃ、ほんとにぐしゃぐしゃ。白いブラウスも好き放題によれよれです。でも、生まれたての生命体が、最初はクシャクシャであるのが常なように、卵を割って孵化したてのひな鳥が濡れそぼってくしゃくしゃでも命に溢れているように,アリスのクシャクシャは、美の原型のように「おごそか」でした…。
  • 美しい手話。光が落ちてる。恍惚とした表情で、自分へ、そして、自分以外へ、指が紡ぐことばを投げかけます。「声が聞こえますか?心の中の」……その後、二三手あるのですが、それ、まだわからないです。でも、ここまでは、たぶんそういうことですよね。
  • 今度は自分の心の中の感情に揺さぶられるように、たまりかねたように踊り出す青年。何度も立ち止まります。踊っている自分に耳を傾けるかのように。そして踊りを重ねて行きます。そこに登場するのが、仮面をつけている自我。その仮面をゆっくり取り上げ、捨てる青年。もうこの青年は、仮面を付けた自分に出会うことはないんでしょうね。完全に歩を異にして訣別する青年と仮面の自我。ライティングで、それぞれの道のりが、飛び石のように、二色に色分けられています。これも象徴的効果のライティングだったんですね。
  • 佐竹先生とのダンス。なんて嬉しそうに楽しそうに、安心してお茶目に笑いながら踊る青年でしょう(涙)。もう、彼のあの笑顔と言ったら・・・。何度も笑います。ああ、もう、本当に嬉しいよ。きれいだよう。今日のこのダンスでの跳躍の高さったらなかったです。空中姿勢がすべて美しく決まって、しかも空中で静止してるようでした。空中でもう一度飛び上がっているようでした。ああ、すごいよ…。
  • カーテンコールです。一回目は、二ヶ月準備を積み重ね、ようやく千秋楽を迎えました…というような内容。カラススタイルの、星野さん、かな?がマイクを手渡します。一瞬、唱うんだろうかと思っちゃいました。はい、混ざってます。ごめんなさい。「全員集合!」て声をかけて皆さん集合して「ありがとうございました!」
  • 二回目。えーっとどうしましょうか、なんて言ってます(笑)。またもや「全員集合!」。「おれら別にええやん」みたいな風情でとぼとぼ出てくる皆さんに(わざとですね☆)、「はい、たらたらしない!」なんて言ってます。かわいい。で、始まりました。一人づつの自己紹介。みなさんの声が聞けてよかった。感極まって涙声になる人も。お姉さんも万感迫るという感じです。その間、ずっと未來さんは下を向いていて、時々顔を上げて佐竹先生とアイコンタクトを交わします。
  • 全員、一回りし、再度未來さんにマイクが渡った所で、またまた音楽の方がいたずら。未來さん、「そやし、それはやめろーっちゅうてるやろ。何回やったら気が済むんや、ええかげんにせえよ!(笑)」なんて言ってます。文字にすると荒っぽいけど、きたなくないのね、未來さんが言うと(笑)。ちょっとタテノリでした(笑)。


 終了後、みなさんとお茶会。茫然です。壊れてて本当にごめんなさい。恥ずかしいです(汗)。

 ともかく、これで終わりました。
 アリス、もうね、エドガー以来の衝撃を与えてくれました。エドガーとは全く別物なんですけれど。
 未來さんの、きれいさと感性と演出力と牽引力と、溢れそうな才能を、つくづくつくづく感じた二週間でした。


 ありがとうございました。
 すばらしかったです。こんな仕事をやり遂げられたあなたに、心から、敬意を表します。
 そして、それを支え、常に創造の場をともにして来られた、モダンミリィカンパニーの方々にも、あらん限りの力でお礼を言いたい気分です。すばらしかったです。ありがとうございました!!

 お疲れさまでした。ありがとう……。