『メッシュ』Studio Life, Relier公演7/1ソワレ@新宿シアターサンモール

 メッシュが山本芳樹さん、ミロンが曽世海児さんです。萩尾望都さんの原作を倉田淳さんの脚本で舞台化した公演。原作ファンとしては、正直に言いますと、さてさてどんなことになるのか、お手並み拝見、の気持ちが多分にあります(えらそー笑)。先日、大阪で見た『OZ』が予想以上にテンポよくって美しい舞台だったので、ふーん、これなら見てみてもいいかな?なんてところがあったりします。StudioLifeファンの方、ごめんなさい(苦笑)。

 舞台は約2時間45分。長編の原作のどの部分をどういう風に脚色するのかなと思っていましたが、いわば正攻法って言えますね、第一話の「メッシュ」から忠実に話をなぞり、二話の「ルージュ」で終わる。キメの台詞などは、原作をそのまま使ってます。これ、シリーズ化するのかしら?パンフレットにrue1ってありましたが…。

 原作のメッシュは、ひたすら傷つきやすくキレる少年で、絶望的に親の愛に餓えていて、自己愛すらも憎しみに転化するような少年。でも、その分繊細で優しく、加えてともかく美しくて中性的で、時々女装したり落ちてるルージュを拾って唇に注したりする少年です。……あ,誤解招くかな?いえ,女装というのは,女物しか服がなければそれを着るんです(わかる?笑)。ルージュは…えっと,たぶん母性への宿命的なコンプレックスがあるのだと…。いや,まあいろんな解釈はあると思いますが(苦笑)。ともかく性を超越しそうなアンバランスな存在なんです…。

 小柄で憂いある山本さん、金髪に銀のメッシュで外見はなかなかのものなのですが、最初はうまく目が馴染みませんでした(汗)。舞台が進むにつれて、だんだんStudioLife版メッシュ☆に見えていってちょっとホッとしました。特に、ラストの、サムソンを殺し損なって錯乱状態に陥るメッシュ、その嗚咽と自らを切り刻むような痛哭、演じておられる山本さんが赤く上気していって、本当にブチってキレてしまうんじゃないか、と思う程の迫力で、すごく感動しました…。うん、ちょっと涙出た。
 いやはや、ほんとに原作のメッシュは、曰く言い難い特別な少年なんです…。ああ、考えるだけで大変な少年だよう…。


 そうそう、ミロンは、良かったです!これはほんと良かった。
 原作とは雰囲気の違う役者さんでしたが、それがとてもうまく機能してた感じがします。原作のミロンは、外見はなんとなくヌボーッとしておめでたそうな人の良さそうな、そんな形象。でも、話が進んで行くと、彼にも苦い親子関係やコミュニティから排斥された過去があって、その上で明るく生きてる背景が見えてくる。ただ、舞台はそこまで時間を割かないので、原作の、読者が読書量と読書時間によって獲得して行くミロン像を、役者さんの造形で補わねばならない。その点で、曽世海児さんはとてもよかったんじゃないかなあ。


 萩尾望都ファンとして嬉しかったのは、パンフレットの序がおもー様ご自身で書いておられ、メッシュ構想の種明かしを三つもしてくださってること。それから、脚本家の倉田さんとの対談で、いろいろメッシュの頃のご自分の関心事や巴里への思いや、いろいろいろいろ語っておられること。へえ、メッシュってそうやったんや〜!っていうのがてんこ盛りで、嬉しかったです♪♪。お花も来てたし☆。


【番外】気づいたのですが、Studio Lifeの公演って、なんとなーく特別な雰囲気がありますね(笑)。カーテンコールの拍手の仕方にびっくり(笑)。あれ、お作法ですか?私なんか、普通に、パチパチパチって叩いてたのですが、しばらくすると、客席の拍手がピターって止まるんです(笑)。ええ?なにこれなにこれ?と思ってたら、舞台上の役者さんがチームごとに前に走り出て来てお辞儀をする、そうするとおもむろに拍手再開です。やんややんや(笑)。で、次のチームが走り出る、またピタッと止まる、役者さんお辞儀する、拍手再開!この繰り返しでした。で、最後に全員で美しいカメラショットというか、ポーズを取るんです。位置取りなどもバッチリ決めて。そこで最後の大喝采!で、それですっぱり終わりです。いつまでも叩き続けたりしないの(笑)。ほほ〜〜(笑)*1

*1: 『OZ』大阪公演ではこんなお作法は見られませんでした。笑