唸謠:楊秀卿「古月琴聲」

寝てないのに、昨日の会議終了後、そのまま行ってきました。
どう言ったらいいのかなあ、ほんとは舞台でやるような芸能じゃないんです。流しの弾き語りです。70歳の女性の「唸謡」です。失明したために、「賣唱」(往来で歌を歌ってお金をもらう)芸人にたった10歳で売られた女性の舞台です。

その「唱」たるや、もう、なんて表現したらいいのか、背筋が震えるような調子でした。まさに「うなる」というのがピッタリ、語りと唱が判然としません。幾種類もの声色を使い分け、それが次々に、かぶさるように続いていきます。どちらかというと、というか完璧に「だみ声」なんですが、直接身体に響きます。とんでもない声量と節回しに心がずきずきしました。
時々「唱」に挟まる笑い声のような「声」と、叩くようにかき鳴らすもの悲しい弦(月琴という楽器を弾きながら唸ります)が、心を揺さぶります。ことばは所々しか聞き取れないんだけれど(全部、台湾の方言です)、もう、その喉にやられました。
寝不足だったので、途中で寝るかも、なんて心配してたんですが、いやいや寝るどころか目が覚めました。