My 初日@3/7 マチネ

 バタバタしていて感想を書く時間が全く取れなかったのですが,My 初日,無事に迎えております。冷たい雨の降る,静かな銀座の午後でした。
 とにもかくにも,森山未來の存在感と表現の全てに,ただただ声も出なかったです。今までの舞台と全然違う,何かが頭のてっぺんに落ちてきたような異質の衝撃でした。
 舞台の照明が静かに落ちて幕が下りた途端,こらえていた涙が堰を切ったようにあふれ出したのにも驚きました。ストーリーの流れにそって高ぶる感情とは別物で,ストーリーを超えて突きつけられる「何ものか」,それに突然心が乱されて涙を止めることができない。こんな経験も,彼の舞台を見てて初めての経験……。
 
 ともかく,虫のグレゴールが終始美しい。
 リアルな動きで,虫以外の何ものでもないのに,気品が有って尊厳に満ちている。特に下宿人の野卑さとの対比の中で,思惟あるグレゴールの美しさが,それこそ不条理な哀しみを際立たせて,胸が痛くなる。
 
 ともかく,とんでもないグレゴール。生きて意思と感情に溢れ,文学的でなおかつ現実に連続している,実存そのもののグレゴールだった。
 
 ホントこの人はただ者じゃないんだ……。
 わかってたけれど。いや,わかってたつもりだっただけなのかな。
 唯野高校の転校生,バスケ部の井本キャプテン,そんな彼の姿を勝手に親戚のおばちゃんみたいに応援してきて,勝手にこちらが理解できる領域内でこの人を判断してるつもりでいる内に,この人は,とんでもない超一流の舞台人になり表現者になり,飽くなき追求を更に自らに課して変貌しつつある…。
 それをまざまざと見せつけられて,圧倒されて,誇らしいような寂しいような,曰く言い難いどうしようもない気持に,勝手になりました(苦笑)。
 
 その誇らしさと寂しさに,覚悟(何の覚悟だ!苦笑)の時が来たのかよ〜と……,いやいや何たいそうなことを☆ばっかじゃないの〜〜!などなどとっても複雑でした。圧倒的な,別次元の森山未來を見せつけられて,衝撃が後を引く,そんなMy 初日でした。
 そうだ,新幹線に乗る前に立ち寄ったコンビニ,B'zのARIGATOが突然かかったんですよ!
 制服の男の子が線路沿いでピックを投げ捨てて,映画館の扉の鎖を引きちぎって,土手で腰に綺麗なシャツを巻き付けてくるくる回って……そんな光景が蘇り,しばらく用もないのに「のぞみ」発車時刻も迫ってるのに,コンビニでウロウロしてました(笑)。そんなノスタルジックな一日の始まりも,いろんな感傷を育てちゃったのかな〜〜なんてね(苦笑)。
 次,2回目見るときには,また近所のおばちゃん目線になってるかもしれないけれど(笑)。ともかく今は圧倒されて,声も出ない気分です。ああ,早く来てちょうだい〜次の観劇日。早くもう一度見たい!焦がれるように,そう思います。