大阪大千秋楽!

 ああ、いい千秋楽でした…。
 これでもうゆきちゃんは手を血に染めなくてもいい。閉塞的な、退路を断たれた救いのないスパイラルを、抜け出てくれただけで、はあ〜と溜息が出ます。始まる前は、せっかくなのに公演期間が短いんじゃないの?なーんて知ったこと言ってましたけれど、いやあ、これで十分でした、これでも長いくらい(苦笑)。RENTのように、2ヶ月、ダブルキャストでゆきちゃんだけシングルキャスト、なんてことになったら(有り得ない!)、今日はAさんに勘当されBさんを殺し、次の日はCさんに恐喝されDさんにTシャツを突き返され、その次の日はEさんに振られてFさんを殺し…。もう、大殺戮ですよ、ジェノサイドですよ。
 ああ、ほんとによかったよ。秋晴れの大阪、ほんとに晴れ晴れしていたよ。

 舞台は、演者の皆さん、最高レベルにネジが巻き切れた状態で臨んでおられました。え?ここへきて初めて?っていうような台詞の応酬もしばしば。ゆきちゃんが思いがけない緩急で台詞を投げると、輝ちゃんが、うわあ…という驚きのテンションで応える。辰男父さんがお茶目度猛烈アップして「納品納品のうひーん」ってスキップすると、ゆきちゃんが花のように可愛らしくニッコリする。栗尾さんとわかちゃんの意地悪応酬で、ふいにわかちゃんの喪失感が舞台上にゆらりと立ち上ってギクッとしたり…。ともかく、驚くような舞台でした。
 驚くというと、こらゆきちゃん! あなた、わかちゃんにあやまんなさい!(苦笑)
 例の、「殴っていい」話ですが、わかちゃんが構えの姿勢で殴りかかるところ、なんとなんと、ゆきちゃんったら、ピョンと跳び上がってわかちゃんのこぶしを華麗にかわし、そのままわかちゃんのこぶしを股間に挟んじゃいました〜! いつもなら両手でわかちゃんのこぶしを押さえて自分の大事なところを守るって、情けなーい体勢なのに、今回はこぶし(というか腕)は股間に(苦笑)、わかちゃんの頭はをむんずと手で掴んで、二人の押しくらまんじゅうが、おでこ(わか)vs右手(ゆき)、こぶし(わか)vs股間&左手(ゆき)って、わけのわからん体勢で白熱の土俵際! 途中でわかちゃん、手をだらんと下ろして頭だけでゆきちゃんに突進してました!けなげだ〜。 お父さんが、「何だお前達、けんかか?」「そんなとこよ!」で振り返ったわかちゃんが、真っ赤の顔して泣きそうで、可哀想でしたよ。ゆきちゃん、すっとぼけた顔して「お!」なんて言ってるけれど、つづくビールのお酌場面、いつもより、両手差し出す腰の位置が低めで、心なしか低姿勢度がアップしてました、へこへこしてた(笑)。そりゃそうだよ〜あれじゃわかちゃん、いやひかりちゃん、可哀想だよ。だって、頭「ぐゎしっ」て掴まれて、ヘアピンだってひん曲がっちゃうし…。いやあよくやった☆ひかりちゃん!! というか、いきなり大千秋楽で予想もしない八艘飛びをする、行人が悪い、何だかんだ言って200%行人が悪い(苦笑)。


 カーテンコールは、フィナーレの次の1回目カーテンコールで、ゆきちゃんが倉持さんを呼びに下手に入っていきました。ゆきちゃんはそのまま最下手でご挨拶。上手に掃ける倉持さんとともさかさんで、いつものお辞儀をしてくださいました。2回目のカテコで客席はオールスタンディングです! 下手先頭からゆきちゃん、上手はともさかさん、倉持さん、根岸さん、の順で登場。真ん中で、スタオベの客席を見て、ニッコリと笑ってくれたゆきちゃんに、何だか感無量の気持ちになりました。うん、もう殺さなくっていいからね(涙)…。みんなでお辞儀をした後、ゆきちゃん、あ、未來さん(苦笑)は上手に退出。舞台袖直前で、ぴょんと前を行くともさかさんの肩に手を掛け呼び止めて、二人顔を見合わせていつものおじぎでした。いつもならこれで終わり?って感じなんだけれど、客席の拍手は鳴り止みません。いつしか拍手が手拍子に。舞台がまた明るくなりました! あ、出て来てくれた!…と思ったら、下手側の面々だけが出て来ます。田口さんを筆頭に、江口さん、野間口さん、高鹿さん、草太…。みんな上手をのぞいてニコニコしてはりますよ。業を煮やして、まいっか!って感じで、田口さん音頭でお辞儀をしてくださいました!やんややんや! そのお辞儀が終わった頃に、ともさかさん先頭に、上手隊が駆け足で登場! あれ?未來さんはどこ?さっき上手に掃けたよね…??っと思いきや、なんと下手から登場です!なんだ君は、この辺り回ってんの?パトロール?(笑)。<下手しんがりで、草太の手をにぎる未來さん。その、手つなぎの輪が下手から上手に広がります。【訂正:思い出した、下手から出て来てセンターに入ったんだった。だから手つなぎは中央から広がったんでした。*1【訂正の訂正:やっぱり,最初の記憶が正しかったみたいです(苦笑)。桐ちゃん教えてくれてありがと!】 根岸さんが、未來さんの意図をいち早く察して、ニコニコと左右の手を取られたのが感動的でした(涙)。その後、みんなで手を大きく掲げて、そして深い深いお辞儀…。ああ、良かった〜〜。感動したよ〜(涙)。
 
 何といったら良いんでしょう。最後の手つなぎお辞儀、これに尽きます。未來さんのホームグランドが舞台上に舞い降りたようなそんな気がしました。だってほら、モダンミリィはいつもそうじゃない。それを見ながら、ああ森山未來は今日から次の舞台に飛び立つんだ、って強く感じて、脱力したりホッとしたりしながら、心からお疲れ様!って気持ちになりました。

 
 すばらしい舞台を、ありがとうございました。
 緩急自在の台詞劇、見事にものにしている姿は本当に頼もしかったです。周りの息や声に耳を澄ませ敏感に反応し、また彼の微細な変化を受け止める頭脳的な演技派集団と共に、変貌を遂げながら走った2ヶ月間、本当にお疲れ様でした。スタッフさん、そしてキャストの皆さん、すばらしいプロのお仕事ぶり、感動しました。
 今日(月曜日)、TBS系月曜ゴールデン劇場「税務調査官」に、赤地がまた登場するんですね。今日は誰を恐喝するんだろ?って違うね、何の役かな(苦笑)。それも楽しみにしつつ、私は私のするべき仕事をしますです。あー。人生って、険しいけど面白いや(半ばやけっぱち)。

*1:だから根岸さんがいち早く反応してくださったんだ!