9/25ソワレ

 五日ぶりのゆきちゃんです。
 数日だけれど、間を開けて見えて来たものが少しでてきたように思います…。 
 
 
 あまり大した内容じゃないですが、下、畳みます!【追記:26日朝、ちょっと手を入れました…】





  • 冒頭の、栄太郎と桃子との会話。この会話の質量がどんどん重くなっていきます。桃子を信じきれていない栄太郎、栄太郎に本心を明かさない桃子、述懐の形を取りながら、最後に桃子が言い放つ「あっち行ってよ!」という、永太郎への断固たる拒絶の言葉。……最後の場面でも、今日ふと思ったのは、もしも桃子がゆきちゃんに殺されていなかったら、桃子がいつか永太郎を殺したかも知れないんだな…ってことで。
  • 土手のゆきちゃんが、めっぽう可愛らしいのですよ。今日は、ちゃんばらごっこの途中で帽子がすっとんでしまって、しばらく可愛い外ハネの髪でぎゃんぎゃん騒いでくれました(笑)。お前はこどもか〜! いや、こどもなんだよね、ゆきちゃんは(苦笑)。くるみはゆきとの女ってわけじゃない、だのに勝手に自分の女だと思って嫉妬してる……のくだりも、帽子無しでひょこひょこきょどってくれました。なんだよ〜かわいいじゃないかよ〜(涙)。でも、小屋に隠れる前にすごいスピードで帽子を取りに駆け戻って、後はちゃんと帽子かぶって、やいのやいのしてました(笑)。
  • くるみと赤地の登場シーン。参鶏湯だの何だのって、どうしてゆきちゃんが小屋の中からチャチャを入れるのかな〜と思ってたんだけれど、今日納得いきました(笑)。くるみは、ゆきちゃんと一緒に参鶏湯を食べに行った時の話を赤地にしてるんですね(苦笑)。ゆきちゃん、一世一代に張り込んで参鶏湯をごちそうしたんだけれど、「だめだめ食べれない〜〜」とか、「真っ黒!」とか、あんまり高く評価されてない(苦笑)。話題としても盛り上がらず、ゆきちゃん、一生懸命「それは参鶏湯だよ!」とか頑張ってるのに空回り……ああ切ないよ〜…。でも、まだこの時は、そんなへたれのかわいいチンピラなんだ…。
  • 何度聞いても、栄太郎のそっぽを向いたままの「こんなところで…けんかなんかして…」にぞっとします。今後のすべてを言い尽くすみたいな、すごく傍観的で残酷で容赦ないことば…。「かかわりたくもない」って、最後の場面で、くるみに栄太郎は言い捨てるんだけれど、たとえ、あの凄惨な殺人現場に栄太郎が居合わせたとしても、やはり「…なんだよ、けんかなんかして…」と言いつつ見て見ぬふりをしそうな、そんな救いのない声色です…小林さんもうまい!!
  • ゆきちゃん、サンダル履いてない時のジャンプ力が尋常じゃないです(苦笑)。あの土手、2歩で飛び上がっちゃいますよ(苦笑)。
  • 赤地が息を吹き返したあと、素知らぬ顔でスタスタ土手を上がって行くゆきちゃん。切羽詰まってた時の大股はどこへやら。一段一段律儀に足をかけて、わざとらしく平然を装って上がって行きます。この「装ってる」風が、全身から滲み出ていて、すげ〜と思いました。パントマイムの領域ですね…もはや。
  • あれ?栗尾さん、ちょっと散髪しましたか?
  • く〜〜〜〜り〜〜〜〜お〜〜〜〜さ〜〜〜ん。このビブラートが、すごくパワーアップしてました!
  • 栗尾さんの携帯には、ちゃんと立て向けに車の写真が保存されてるのね(笑)。
  • 跳び蹴りの美しさと安定さと力強さには、ほとほと感心…。栗尾を引きずる時も、彼の腰を浮かして摩擦を低くして。これも殺陣の技術のひとつなんでしょうね…。
  • わかちゃん、ほんとに全部知ってたんだね…。最初に「お兄ちゃんは?!」って言って玄関先を見る。東本さんから電話をもらってたから輝紀兄さんが来るってわかってたんだろうな…。でもわかちゃんは、徹頭徹尾、感情を表さない。東本さんのことが好きじゃないのかな?と思わせたり、でも、無理に別れさせた行人兄ちゃんには、一日一回たまを殴らせろと言うし…。お父さんがゆきちゃんをぼこぼこにするところも、お父さんの心の中を彼女は考えてるんじゃなく、表面的な一時的な衝動ばかりに目を向けている…。彼女は、真正面から何かの感情に向き合うことをやめてしまった…そういう意味では栗尾の相似形として、そこにいるのかもしれない。何かを絶望的に破綻させながら…。
  • 行人の浅はかな策略の、とうとう底が割れる場面。一番きつい場面です。はあ…。追い詰められ追い詰められ、にっちもさっちも行かなくなって、その場でできるかぎりの、最最最悪の反応を彼は選んでしまう…。父にあらん限りの悪態をつき、母を足蹴にし投げ飛ばし…。そんなこと、決してしたかった訳じゃないのに、あそこまで悪者にされてしまったら(自業自得だけれど)それしか彼には取るべき道がない…。甘えばっかでさ…。本当に勘当されるなんて思っていなかった。なんだかね、覚悟の上での行動ってのが彼には一つもないんだよ…。彼にあるのは情動だけ。でも、それがどんどん切羽詰まっていく…。
  • 田口お父さんの大立ち回りシーン。驚いたのは、田口お父さん、行人を蹴ったり投げ捨てたりしながらも、ほとんど行人本人には触れておられないんですね!! 田口さんが振り上げる足の先で、それに反応してモリヤマミライが自分で回転し、すっ飛んでごろごろもんどり打つ…。確かに、単に足を振り上げるだけでも大変なエネルギーだと思うあの場面で、力の迸ったモリヤマミライをリアルに足裏に捉えて転ばそうとするなら、その作用点にかかる力だけで、ぐったり疲れて並の人間はギブアップしてしまいますよね…。 田口さんの負担をなるべく軽くして、その分はモリヤマミライが自力で派手に空中に飛んでみせる…。そっか、そういう仕組みなんだね…。
  • お母さんは、「犯されたのか?」と聞き、みんな「犯された」で完結しました。
  • 桃子が言う「証拠」……ずっと考えてるのですが、どうも私には、「夫が私を疑った証拠」という風に思えてなりません。彼女にとって、ゆきちゃんへの思慕は、たぶん自分でもしかとは気づいていない底の底に潜む感情。「だから、帰って」。「なんだよ、『だから』って…?」「『だから』は『だから』よ」(うろ覚え)。でも、それを見抜けたからといって、それに対してストレートに動揺するには、彼女には「役割」が多すぎた。栄太郎の妻であり、子どもの母であり、嫁であり、優しい近所のお姉ちゃんであり…。栄太郎の妻であることに、どうしても自信を持てない彼女、彼の前では卑屈になるしかなかった彼女…。夫が自分を信じていないことが思いがけずも証明されたことは、またとない好機として意識外に記録されたのかもしれない。栄太郎の自分への不信を証拠づけるもの、それがあのお金…。 ゆきちゃんがお金を数え出す直前、彼女もじっと封筒のお金を見る、見る、見る…。ふと目を上げると親からもらったおかねを数える行人がいる…。夫の「信不信」をお金に換えた後ろめたさが、自分が唯一大きな態度でいられるゆきちゃんに対して爆発する。自分を追い詰めるように行人を追い詰める。。。ああ、これじゃあゆきちゃんは救われない(涙)。
  • ゆきちゃんは、工場の油、グリス、そういうものが大ッ嫌いだったんでしょうね。自分ちの家業、その象徴である「油」が嫌いでしょうがなかった…。毎日仕事が終わるたびに神経質にグリスを洗い落とす。兄が尋ねてきても、油まみれの兄の作業服が堪えられない…。優雅に部品にヤスリをかけるゆきちゃんの、白魚のような指を見ると*1、ああこの人は家業に合ってないんだ、と痛切に思う。
  • 殺しの場面のエロスは、先週よりも濃く美しく、そしておぞましくなっていました。行人は桃子に対してはホントに何も無かったのだと思うのだけれど、桃子の方には潜在的な、自分と同類でありながら、自分と全く異なる行動様式をとってしまう行人に対しての強い思慕がある。それが、自分を殺す相手にさえも取りすがる、まるで生き霊のような行動を彼女に取らせてしまう。桃子が行人の首筋に唇を這わし、それを行人が一突きする場面は、美しいのに情念がまとわりついて、まるで怨霊を断ち切るような、命がけの魂かけての荒業でした…。死の間際に行人の身体に指を這わせた桃子の情念。その前に、行人は何ができたのか…。
  • 殺しを終えてしまい、もはやいかなる「先」をも救ってはくれない、血にまみれた100万円を冷静に赤地に差し出す行人。終業時間が来たら、いつもと同じように念入りにグリスを手から洗い落とす…。でももはや彼には決して洗い流せないものがこびりついている。靴の油を落とそうとして落とせなかったことと、洗っても洗っても「血」が落ちない自分の手と…。ゆきとの絶望と孤独を思うと身体が硬直してしまいます…。

 なんだか途中なかんじなのですが(カテコとか全然書いてないなあ…)、頭がボーッとしてきたので、ね、寝ます…。いっぱい漏れ落ちてるんだけれど、もう10秒先に寝そうなので(苦笑)。ありゃりゃ、寝ます。
 

*1:まあ、それは行人の指ってことじゃないけどね…苦笑