5/12ソワレ(その2:他人篇)

 未來さんの舞台を初見の友人です。ただ、ウォーターボーイズは見ていたようで、けっこう好きだったらしい、ドラマとして(笑)。で、その彼が観劇後に言った感想、いろいろあったんだけれどおもしろかったのは下のようなことかな。途中、私が未來ファンらしいことに気づいて以降は、些か私の熱さに遠慮したかも知れないけれど、それでも、ちょっと厳しい意見も含め、いろいろ語ってくれました。元文学青年のツボを随分くすぐる舞台だったようです。


 見てないとわからない感想ばかりですが、念のため、畳みます!





  • まず、芝居全体についての感想。

 後ろに余計ですが、私の突っ込みも適宜付けておきますね(笑)。

  1. 近頃ではダントツでよかった。好みの舞台。詩的で余韻がすごく残る。○川演出よりずっといい。
    • 同感だけど、のっけからそれを言うかい(苦笑)。
  2. 役者ソニンの底力には驚いた。喉が太い。いろんな声を、感情に流されずに、明瞭に伝えて、しかも耳に心地好い。浅見れいなも大変よかった。ソニンとの対比が鮮明で、このあたりもキャスティングの妙か。
  3. 一番良かったのは尾上紫。「花嫁と対になる存在」を、とても印象深く演じていた。声もいい。
  4. 男性陣では、岡田浩暉がうまかった。前半の善人でどちらかというと凡庸な存在が、ラストに向けておぞましく急速に豹変していく時の色気がすごかった。
    • これは同感だなあ。この12日ソワレは、前週と比べ、岡田さんの狂気の度合いがホントに変わってた。いつも爽やかな人かと思ってたけれど、いやいやどうして岡田さん、すごい…。あ、そういうと、『危険なアネキ』ではかなりイヤな男だったですよね!
  5. そんなこんなで、キャスティングが絶妙。舞台は多重的に構成されていてとてもおもしろいが、その軸になる、キャストのペアがいくつか設定されていたのが効果的。花婿と花嫁の父、花嫁と少女、女中とレオナルドの姑。

かなりしつこく聞いちゃいました(笑)。

  1. 目が印象的。台詞のない場面で寧ろ強烈な存在感を放つ。舞台の中央で主役然として存在しているより、端の方にいる時に、どうしようもなく目が引きつけられる。特に、婚礼の宴会のシーンが印象的。カーテンの奥に姿を隠した後の存在感には、おお!っとなった。
    • 端にいる方が存在感があるって、どういうこと?(苦笑)。まあ、主役です!って全面に押し出してもらわないと存在が消えてしまうような人も、もしかしたらいるのかもしれないな…むにょむにょ(コラ)。
  2. 舞台の流れの中では、前半の、焦燥感に支配されて、感情を内に抑え込んでいるあたりの語りがとてもよかった。粗野なのに妙に色気があった。その前半に比べると、逃亡シーン、感情が解き放たれると、一気に少年のようになってしまったのがちょっと残念。2人の已むに已まれぬ熱情が、彼からほとばしると純愛に見える。もっと「背徳的」な香りが欲しいところだが、22歳でそれを表現してしまったら寧ろこわいか…。
    • いや、背徳的な表現もできると思うんですよ、私は…。ただ、それは現時点では作り込んで造型していかねばならない部分かもしれない。むき出しの本能で背徳的っていうのは、はい、それはまあ無いと思います。だいたいいるのか?存在自体が背徳的な人って…(苦笑)。
  3. ただ、その若さを台詞で補うことはできるはず。あ、この場合の台詞は、役者の話術としての台詞じゃなく、脚本の、テキストとしての台詞のこと…。
  4. つまり、森山くんの雄弁な身体表現と表情に匹敵するほどの、強いインパクトをもつ台詞が全体的に少なかったと思う。彼の身体表現はとても詩的だから、台詞も、もっと詩的で劇的であって良かったんじゃないかと思う。彼の肉体がまざまざと語っている場面で、口から出る台詞(テキストとしてのことば)が、その身体表現に負けていたように思う。それは、彼の力だけではなく、テキストの問題でもあると思う。
    • 白井さん、偉そうにすみません!うーん、本読みともの書きを仕事にしてる人間なもんで、「ことば」に対しては、ついついこういうことを言っちゃうの…どうぞご勘弁を(汗)。
  5. 彼って、独白型の役者なの?無言の身体表現の応酬では、圧倒的に雄弁で、周囲を圧倒していたけれど、言葉が加わっての応酬では、それほどの相乗効果が出てないように思った。
    • 独白型っていうのは、確かにちょっと納得するけれど…。でも、もともと今回のレオナルドは、丁々発止の言葉を他人と交わす存在じゃないよね…。
  6. その中で、「ああ、夜が死んでいく…」は非常に良かった。とても良かった。ぞくりとした…。この芝居の中では圧巻。あんな台詞がもっと欲しかったね。等身大の言葉では、彼の詩的な身体表現に負ける。
    • しつこいですね…。でも、それをえらく熱く語ってました。原作付きの翻訳劇の脚本には、彼、特に評価が厳しいのかもしれない。
  7. 彼自身の声質も、少し喉が細いか? 心地好い声ではあるが、太さがも少し欲しい。多彩な声質の幅が欲しい。
    • ちょっと同感(苦笑)。ただ、舞台役者の太い声って、どんな感情も同じ声質になってしまう時があるよね。そんな森山未來はイヤだし…。
  8. 踊りはとても端正で力強い。手足が長いねえ。
    • 踊り出すと長くなるんです。ぴきぴきぴきっと筋肉がダンス用に一気にセットアップされるんです。舞台以外だと普通にでーろでーろ歩いてるお兄ちゃんっぽいです。

 こんなとこでしょうか。このくらい話したところで、話題が仕事の話に移っちゃって終了…。未來さんの印象を、私がやけに根掘り葉掘り聞くもんだから、途中で未來ファンだってこと、ばれちゃいました(笑)。まいいや。
 なんか未來さんのことはとても気に入ったみたいだから、「キャバレー」も行きたい☆って言ってたよ(笑)。
 オルグ、1人成功!かな。