5/3ソワレ(@東京グローブ座)

 休憩無しに、2時間の舞台。
 いろんな意味で、ずんと身体に来ました。


 グローブ座の外は、緑したたる薫風の光。
 グローブ座の中は、木々と海辺から自己を切り離す*1、乾いた風と光線が晒す、砂の世界。

 
 未だに何を見たのかしかとはわからない気分のままですが、今日の印象だけ書いておかないと明日が迎えられなさそう(苦笑)。ただ、今朝、寝たのが朝の四時半、新感線でも眠れず。ほとんど今は意識朦朧なので、文章のテニヲハも無茶苦茶だと思います。ほんとはアップできるような代物じゃないと思うんだけれど、まあ、もうここまできたら後は野となれ山となれ☆の気分で書いちゃいます(苦笑)。



 ネタバレは無いようにしますが、念のため、畳みます。




 白井さん演出の舞台は、想像を超えて象徴的な仕掛けに満ちていました。
 ともかく視覚的で、身体的なステージ。肉体そのもので物語を伝える手法が多用されていて、何度もまるでダンス公演を見ているかのような錯覚に襲われた。たぶん、各所で語られていた「ストレートプレイ」という定義づけに、過度に律儀な反応をしてしまったんだろうな…。


 ロルカの詩、スペイン語の韻律を日本での舞台上に読み替えるための、白井晃ならではの詩的な演出。これがパズルのように様々な齣に関連づけられ、星座のような圧倒的な視覚性を誇示するかのようです。ともかくとっても視覚的なんです。
 そして、能舞台のようにシンプルで禁欲的にそぎ落とされた舞台装置。最小限の椅子とテーブルだけが、舞台を組み立て世界を作る。その中に点描として置かれる血の赤と砂を踏む「音」、板を蹴る音、手拍子。そしてそれを支配する、巨大な幔幕、その存在感がすごい。


 舞台上の皆さん、1人1人がとっても魅力的。
 渡辺さんのギターは、幕と幕との叙情を紡ぎ、感情を導いたりけしかけたり、まるで空気の一部となって舞台の世界を支えます。
 新納さんのダンスは、徹頭徹尾象徴的。それだけじゃなく、「死」に連なる血筋を、繰り返し増幅する循環に投げ込んでしまうムラの宿命を、いきなり冒頭から流血によって見せつけてしまう…。
 浅見れいなちゃんの、素直な心地好い声には驚かされたし、岡田さんの爽やかさにはただただ痺れるばかり。
 池谷のぶえさんの美声と安定したお芝居には、ほーーんと、この舞台の重々しさから何度も救われる思いでした。とってもユーモラスで、ついつい笑っちゃうくらい。
 根岸季江さんは、その哀愁帯びた歌声が、ロルカの哀しく残酷な子守歌を見事に再現しておられます。
 岡田浩暉さんは、とても爽やか!でもああ、最後の場面といったら…これは明日、もう少し前方からしっかり見させてもらわねば!
 そして、江波杏子さん!その存在感と美しさ、何よりフラメンコなオーラにはただただ圧倒。彼女が導くクライマックスは、この舞台の隠然たるテーマーーちょっと思うことはあるのですが、書くのはもう少し後から(苦笑)−−を紡ぎ出す。
 ソニンちゃんもよかった…。でもこの花嫁の役は本当につらいだろうなあ…。それを文字通り体当たりで演じておられた姿には、ほんとブラボー!です。


 で、未來さんです…。
 いっぱい思うんだけど、明日見てから改めて書きたいこともあるので今はこれだけ…。 

 
 何より驚いたのは、妻に言いつのるその語りの鮮やかさです…。感情を抑えつけて、しかも焦燥感に苛まれ、にこりとも笑わずに、言葉だけを、乾いた大地に弾ける茨の実のように、ツブツブと弾けさせ、周囲を追い詰める…。こんな未來さんの語りはホントに初めて。

 そして、フラメンコ。制作発表よりも、エンタメ+よりも、更に更に別物に進化していました。


 まるでシバ神のように両腕を空にうねらせ、阿修羅のような手さばきで、涙を流す足の裏*2で大地を蹴る…。これすらもきっとまだまだ進化していきそう。


 昨日の、公開リハでさんざん取り上げられた「濃厚な…云々」ですが、これは今日のバージョンはとても紳士的だったんじゃないかと私は思うんだけれど、どうでしょう?(苦笑)それより、レオナルドと花嫁の感情の波が、どう運ばれていくのかが気にかかってしまって、キスシーン自体は、あら、もうこれだけってくらいの上品さでした。前の方の席で見たらまた別かも知れないけれど、今日はとっても後だったので…。それより、新納さんと尾上さんのシーンがそれに輪をかけてエロティックで、文字通り目をパチクリ状態(汗)。



 カーテンコールで、未來さん、フラメンコを踊ってくれましたよ。ソニンちゃんも!ソニンちゃんのフラメンコもとってもいいな〜。今日初めて見る、レオナルドと花嫁のピカピカの笑顔です。カーテンコールで登場した際、靴をフラメンコシューズに履き替えて¥た未來さん、あ☆もしや!って思ってただけにとっても嬉しかった! 舞台中と同じ曲だけれど、ずっと軽快で楽しげな振付の踊り。全然違うの〜〜〜〜。未來さん、かかとだけで渡辺さんと会話したり、とっても楽しそう!ああ、あれが見られて本当によかったな〜。でないと、胸の中に、死と血と鉛を悶々と抱えて家路につかないといけないところでした。ありがとう。


 と、ここまで書いて、今日は限界だ。目がだめだ(汗)
 明日はもうちょっと前の席だし、明日が終わったら、もすこしまともな感想が書けるかもしれませんが、今日はもう沈没します。


 は〜、お休みなさい。

*1:婚礼シーンの演出から…

*2:花婿の母のことば…