十月花形歌舞伎@大阪松竹座

たいへんです! 大阪松竹座が、凄いことになってます!
http://www.shochiku.co.jp/play/shochikuza/0610/index.html

通し狂言
染模様恩愛御書(そめもようちゅうぎのごしゅいん)

大川友右衛門        染五郎
横山図書          猿弥
腰元あざみ         春猿
細川越中守         段治郎
印南十内/堀尾帯刀     薪車
一ノ瀬九郎右衛門      寿猿
数馬母お民/細川奥方照葉 吉弥
印南数馬          愛之助

1712年初演の古い狂言衆道(男色)と激しい猛火の火事場演出で、明治以降上演が途絶えていたその演目を、今回通し狂言で復活させるということで、随分前評判の高かった話題作です。
http://www.shochiku.co.jp/play/shochikuza/0610/midokoro.html


で、観た感想☆すごくおもしろかった!
びっくりしましたよ。え〜、これ歌舞伎?!って、目をぱちくりさせる演出の目白押しなんだもん。
衆道」といっても、これはまじめな男同士のピュアな愛です。染五郎愛之助の恋情が切なかった。


舞台装置は極めてシンプル、たった一つの櫓を、効果的にぐるぐる回し、幔幕や照明をうまく使って小気味よく場面が展開していきます。休憩時間の30分を除くと、場面転換の幕間は一切ありません。息をもつかぬテンポ良さ☆いやあ、お見事! 一緒に行った、私などよりずーっと歌舞伎通の友人が「普段の松竹座のお客さん、幕間が長すぎて(場面ごとの幕が下りず)、しんどかったんちゃうかな〜?」なんて笑いながら感心するほどでした。
おまけに、2幕目以降のクライマックスシーンといったら、これがまあ、明治時代にはナント本火を使って演じたという場面なんですが、それを見事な照明技術と舞台装置で、紅蓮の炎も渦巻く煙も再現しちゃいました! おまけに、伝統的歌舞伎演出にはあり得ない(と思うんだけど)、赤や白や青のスポットライトを明滅&回転させ、ラストのエンディングなどは、いやあ、ネタバレになるので言いませんが、思わず私は阿修羅城〜メタルマクベスの某某シーンを思い出してしまいました(笑)。
他にも、紙吹雪は噴射されるし、なんとなんとなんと、歌舞伎の花形役者が、花道以外の客席を駆け抜けてしまうんですよ〜。
舞台の幕が下りたときには、役者さん方が一列に並び、カーテンコールまでされました。もちろん、一度でおしまいでしたが、歌舞伎公演ではそれすら普通あり得ないから、画期的です。


染五郎も良かったけれど、愛之助が美しかったなあ。
お正月の「新選組!!土方歳三最後の一日」で、榎本武揚を演じた方です(→http://www.nhk.or.jp/drama/html_news_shinsen.html)。次々と取っ替えるお着物がどれも美しくてうっとり♪です。


ともかく嬉しい驚きでいっぱい☆これって新感線?いのうえ歌舞伎?って感じ、染五郎出てるしね(笑)。もちろん、台詞回しはしっかり歌舞伎(ずっと聞き取りやすいけれど)、立ち回りもお約束の見事な様式美です。それでもコミカルな動作やスピード感はとても新しい感覚だし、小ネタも一杯盛り込まれてお客の笑いも誘うし、サービス精神満点です。
普段、あまり他の方々と共演しない澤潟屋の方々が、がっちりタッグを組んで復活狂言に乗り組んでおられる、その辺りも感慨深い。


思わず、千秋楽のチケット、追加しちゃいました(笑)。
十月花形歌舞伎がここまでするとは。いやあ、大阪松竹座、たいへんなことになってますよ!