『Last Show』@WOWOW 6/16放映

青山のイクサの最終決戦で観る時間がないまま録画を放置していたのですが、先日やっとみました。

カニバリズムや近親憎悪、被害妄想にアダルトチルドレン
いろんな要素が渦巻いていて、げげげ〜(汗)なんて思いながら見続けました。

作・演出 長塚圭史
出演 風間杜夫永作博美北村有起哉中山祐一朗市川しんぺー古田新太


北村有起哉さん、すごくいい!私はグレコよりこちらがいいな(笑)というか全然別物だな。惚れます。
気迫の演技はそのまま。等身大の現代人、どこにでもいそうな青年が一気に混乱に陥る、その頼りなさやら正反対の安心感や情けなさやすごみやら、そんなこんなをギリギリと演じておられた。とっても素敵な純粋な笑顔も見せてくれるしね。でも、その純粋な笑顔は、一方で残酷などうしようもない印象を観客に刻み付けるーー「こいつは無能…」。でもそれが後半、何の意味も持たなくなって行く。彼の無能さを印象づけていた人物が、どんどん無力化ーーナンセンス化?ーーして行く展開がその一方であるからかな。


とにかく彼は最後まで善人なんですよね。そう、善人。
だのに、その善悪の価値基準が、ラストでぐらりと揺らぐ。揺らぐ根本に、母性だの父性だのが、そうかやっぱり首をもたげるのか、と思いきや、いやあ、そうはならないのよ。そこでゆっくりこちらに顔を向け始めた白い顔は、のっぺらぼう(私の印象です)。何もないの。きっとこんな顔がこっちを見るんだろうと思って身構えたらのっぺらぼうだった、そんな感じ。


永作博美、好きなんです、この人。よかったよ。うん。唯一まとも。最後までまとも。
風間杜夫。うまいですね〜。この人の作る人物は、いつも根っこが無い。蒲田行進曲の銀ちゃんだってそう。根っこが無い。そういう人間を演じるにかけて、この人の右に出る者は無かったんじゃないかな。唐沢さんが出て来たとき、あ、似てる☆とちょっと思ったけど、最近は唐沢さん、根っこの無さが無くなって来たね。根っこ有るもん。
古田新太。うさんくさい笑顔。異常なカニバリズム。だのに、愛なんだもん…。この人物は、新太さんの外見を含めた雰囲気が無いと成立しなかったろうな。影が有っちゃダメな人物設定。だってこの人自体が影だもん。影なのに光のように見えないと行けない。ネガとポジの反転、それを同じ笑顔でうさんくさいまま感じさせる、古田新太の真骨頂だと思った。


長塚さんの芝居、他は見たこと無いんだけれど、着目しちゃうなあ。これ、おもしろいもん。
でもそのおもしろさ、果たして脚本演出がおもしろいせいなのか、役者の配役の妙なのか、ちょっと判然としづらい感じもする。設定が有り得ないこともあるのかな。こんな異常な設定なら誰でもそこそこ面白いものは書けるだろう☆なんてエラそうに思ったりもするわけです(汗)。だから、普通の芝居で普通の空間で、この人がどんな脚本を書き演出をするのか、改めて見てみたいな。