「十五そうめん漂流記」@京大文学部学生控室(通称○ン□カ)

先週末のぞいてきました。
ヨーロッパ企画本多力さんが客演参加されるというのを聞きつけたから。
いやいや、まあまあ(笑)。


長くなったので、畳みます!


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演じている本体は京大の劇団員。第21回「やみいち行動」というからには、そこそこの歴史が有りますね。ということで、演者が必ずしも現役学生とは限らないのも見て取れ、すでに学生じゃねえべ!という人も…(笑)。といいつつ、この大学の場合は、外見と実際の学年(年齢)は必ずしも一致しませんけどね。

芝居は、即興。そうだと思いました(笑)。けっこうというか、予想以上におもしろくて、かなり笑わせてもらったんだけど、綿密な脚本の存在は感じませんでした。プロットはあるだろうけど。
で、その即興芝居。素人っぽさが、自分の投げた即興の台詞への自信の無さ、いや、相手が返す言葉への若干のへっぴり腰、こういったものから感じられます。それもカラーなんだろうけどね(褒めてます)。そこから来る可笑しさも確かに有ったよ(これも褒めてます:笑)。
でもね、即興の台詞を投げて、その直後に投げた張本人が「まあそんなことはどうでもいいや」という感じで相手の言葉をさえぎっちゃうというのが目立ったな(苦笑)。即興の台詞を言うとき、一部の劇団員は完全に目が泳いでたし挙動不審だったし(笑)。


で、期待の本多さんは、亀役でした♪ひゃは。段ボールでつくった亀の甲羅の中に入って、未来人さながらひょうひょうとした出で立ち。いつものかわいい左手も、まんまそのまんまです(笑)。むちゃくちゃその場の空気になじんでおられます。
でもね、やっぱり違うんだな、学生演劇とは、ビミョウに、いや、相当。両者のボーダーを、うまく演じて溶け込んでおられたけれど、いろいろ決定的に違う。


まず、台詞を口にする時の覚悟が違う。即興の台詞をきちんと受ける。新しい言葉を引き出し紡ぎだし、台詞の破綻を畏れない。つまり、言った尻から言葉の自己否定をしたりしない(苦笑)。
目が泳がない。動作が挙動不審じゃないのは当たり前のこと(笑)*1。いくら亀の甲らをかぶっていても、舞台の上でおろおろなんかしないし*2、前に出る時はとことんずず〜んと出る。京大の学生は、客に振る場面でも客に近づけない、足を踏み出さない(笑)のに、本多さんはズンズン来る。そうめん口にくわえたままズンズン来る(笑)。私の友人は、その差10センチの距離まで近づかれてしまってましたよ〜☆。


という感じで、やっぱりね、全然、モノが違ったのでした。当たり前ですね(苦笑)。でもまあ、すごくなじんでおられて、楽しんでおられました。いやほんま、すごく楽しそうだった☆ 即興に吐く台詞がやたらbookishなのも似たテイストで、学生演劇という同志っぽい空気を共有しておられた。


で、ちょっと思ったこと。

ヨーロッパ企画の舞台。そんなに沢山見ている訳ではないけれど、綿密に練られた脚本(by 上田誠)を、まるで即興芝居のように演じるおもしろさありますよね。上田さんの脚本は、すごい理詰めで構成がしっかりしてる、見事。でも、それが理屈で動くんじゃなく、役者さんによって、とても自然に変幻自在に、過剰な台詞を吐き出しながら流れて行く。だから、あれ?これ即興なんじゃないの、なんて錯覚すら生む。
それは、劇団員の日常、お互いに積み重ねて来た日常から生み出される、他と代替のきかないものなんだろうな…と、この芝居(?)を見てつくづく思った。
自分が、「A」とアドリブで言えば、X君なら「B」と、Y君なら「C」と、きっと言葉を返すであろうことが了解されているような濃い空間。だから、安心して「A」を予告無しに発することができる。万一、そこで「B」の答えが返ってこなければ、自分を含め他の劇団員から、一斉にそれに対しての突っ込み、リアクションが、きっと帰って来るに違いない。そういう意味で、ある種の予定調和を前提としつつも、それが破られたところで全体が破綻しない。それが劇団としてのセオリーでありメソッド…。

ここらへんが、京大「やみいち行動」と本多さんとの違い、素人学生劇団(もちろん、それならではの面白さもあるよ☆)と、有機化し次の自然増殖をも内包するようになった劇団ヨーロッパ企画との違い。なのかな?…とエラそうに結論づけてみました(苦笑)。


で、劇団☆新感線。はい、むりやり行くよ♪
粟根さんやじゅんさん、右近さんや聖子さん、みなさんの思い切りのいい台詞の応戦と広い懐の芝居。この安定した土台もやっぱり、濃い日常を共有してきた劇団員同士の、代替のきかない関係性の中で培われた者なんだろうな。
その強固な枠組みがあるからこそ、客演のみなさんが自由に遊ばせてもらってる。客演のプロフェッショナルな遊びを、劇団員が楽しんで受けて、そればかりか、もっと遊べ〜ってけしかけてくれる。……メタルマクベスもそうなんだろうな。
新感線の懐の深さの源泉なんかを、ちらりと想像させてもらったりした、ささやかな週末だったのでした。


ーーでも、この芝居は、観るのはタダ、それなのに、団扇はくれるわゼリーはくれるわ、彼らの持ち出しの方が多そうでした。うん、その精神や良し☆だな。

*1:本多さんのキャラとしての挙動不審は有るけど(笑)

*2:当たり前だ!失礼だな。笑