……聞こえてくること……

昨日辺りから、断片的に聞こえて来た、グレコ周りの演出変更。どうやら台詞の追加もあったとか…。今日のいろんな方のレポからもそれが現時点では確定であるかのようです。
舞台というのは、全体を通して一つの景観と物語を形作るものだから、一部の改編部分だけで、しかもまだこの目では見ていないことについて、何も言うことはできないのですが、どうなっちゃったのかハラハラです。



以下、内容にガルルルル、と触れてます。取り扱い注意でお願いします。
また、私見が思いっきり出てますから、そんなの目にして自分の感動を引っ掻き回されたくないわって人も、厳重注意でお願いします。





畳みます。




魔女の予言「バーナムの森」、この扱いが今回一番の問題だという認識が、いのうえさんと宮藤さんとの間で共有されていたことはパンフレット宮藤さんインタビュー(B-5)で明かされていること。
確かに、原作の「バーナムの森」は、新感線&クドカンコラボのこの舞台では、有り得ないだろというかダサすぎるだろ(笑)って世界だからもちろん改編。それが「狼の子孫が剣で空をまっぷたつに切り裂き、陸の鯨が目を覚まさぬ限り」という新たな演出を生んだ。「女(の股)から生まれた男」はそのまま。これはクドカン&新感線ワールドでもOK。


ということもあって,「狼の子孫〜陸の鯨」は一つの連続した予言であったはずだし、実際そう演出されていた。で、この予言の核心にあるのは、(これまでの表現では)まぎれもなくJr.で、「空を切り裂く剣」は、スヌーピーの刻印*1付きのJr.の短剣。「女の股〜」のグレコと、見事に予言の二極を構成してた。
原作でも「バーナムの森」の核心はマルカム王子。この点でも、シェイクスピアのマルカム&マクダフの二極が、『メタルマクベス』のJr.&グレコにおいても、鮮やかに投影されることとなってたと思う。パール王城門での、あの熱い熱い求め合い(笑)も、2人が運命の糸で絡まっていることを表現してる、と理解できた。
隠し球のせいでわかりにくさは有ったかもしれないけれど、作品の世界は完全だった。破綻はなかった。見事だった。


だから、いま、切に思うこと。
グレコ周りの改編。それが予言に食い込む改編となってないように。忠臣グレコの人物形象の強化、それであってほしい。そして、一つの連続した予言だったものの紐帯をぶった切ってしまったり、予言の二極のバランスが片方に集中してしまうような混迷を生んでないでいてほしい。グレコへの強化がなされたのなら、もう一方の極への強化も同時に行ってほしい。それは例えば、王宮の宴会シーンに、王家の紋章を王座周りにちりばめるとか(スクリーンはエクスプローラーも登場するし…)、もしくは、夜のテラスシーンでの王の独白で、王家の紋章にまつわる由来を語らせる、例えば「俺は狼(の子孫)と言われ、誰にも仕えること無くこの王国を築いた」とか…。*2


……なんて言ってみても……。でもこればっかりは演出家の手中の駒だからな…。観客はその世界を受け取るしかないんだけれど…。それも含めてこの目で見たい感じたい、浸ってみたい。



あ、これは、ジュニアファンだからどうのってことじゃないですよ。まあ、ジュニアが報われて欲しい、とはもちろん思うけど(苦笑)。
でもそれよりも、『マクベス』という古典をここまで見事に改編した『メタルマクベス』という舞台に、ぞっこん惚れちゃったので。
その脚本の鮮やかさをかなり真面目に評価して、後々それについても一杯語りたいぞ☆と思ってたので。



そのどんどん高まる盛り上がりのさなかの、ちょっとギクッとする情報。これはもう、この目で確かめずにはおられまい。

*1:狼の子孫☆最初にこの解釈をtomkoさんから聞いた時は感動したな。

*2:この部分、一旦消去したけど、また復活させときました☆なんかやけっぱちだな:苦笑