「母は戦友 白石加代子」@ABC グレートマザー物語

 番組表で「白石加代子」の名前で引きつけられました。
 舞台での白石さんは、本当にぞくぞくするような素晴らしい声と演技で、いまの女優さんの中ではもうもう群を抜いた存在感だと、見るたびにホレボレする役者さんです。
 去年、天保12年のシェイクスピアの感想に関連して触れたように(→こちら)、ご自身の体が柔らかいことから声がやわらかくなりがちである、だからドレスの下で片足立ちして(骨を作りってことかな、と理解)声を出していた、という逸話の持ち主。その舞台での迫力といったら、観る方の精神も峙つ思いがします。


 番組は、白石さんとお母様のこれまでの歴史を辿りながら、女優白石加代子を語るものでしたが、端々に挿入される舞台の一コマで、白石さんが声を揚げられる、それだけで空気がキリリと引き締まる、その片鱗が伝わってきます。
 そこで紹介されたエピソードにこんなのがありました。早稲田小劇場での舞台で、皆が息を呑んだ伝説のシーン(『劇的なるものをめぐつて1』)。
 ばったりと舞台で倒れた白石さんが、足の「甲」でそのままゆらりと立ち上がった、というのです。観ている者誰もが、身の毛がよだつような恐ろしさを感じて目を伏せた、と…。
 
 この話、後で調べてみたら、白石さんの公式サイトにも紹介されていました(→「白石加代子を深く深く掘り下げる」)。有名なエピソードなんだ。すごい…。


 一つの世界で一流になる、本気になる、その凄みを、改めて感じました。
 ああ、次の『源氏物語』、観に行きたいよ〜(でもマクベス中で日程が…うう涙)。