きのうからのこと

 ええかげんいい歳してるので、表面上はさておき内心はかなり冷静でいられると自負してましたが、今回はダメです。

 昨日は、いろんな状況を見つつざわつく手足をバタバタしてるうちに過ぎたのですが、今日はもう脳みそがはち切れそうです。



 うちの職場では、時々有志ばかりでちょっとした飲み会ネタがてらにイレギュラーな会合がもたれます。ここ数年、年に2回程度の頻度でやってるのが、現代文芸小説を肴に呑む会(仮称)です。おもしろい新刊本が無い時は、「○○少年野球チーム後援会」と名を騙って宴会開いたりしてます(笑)。
 その会合で、去年の4月上旬だから、今からちょうど一年くらい前に開かれたのが、その3月末に出版された村上龍『半島を出よ』をネタに酒を呑む会、でした。
 こういう会では、たいてい対抗馬的に誰かが自分の推薦する小説を持って来て、その面白さを語り、二本立てで、みんなでワイワイ放談する、というのが常なんですけれど、その時、私の大好きな先輩が持って来たのが、この『○○○○○○』でした…。
 この先輩は、議論の切り口がとってもシャープで話術も巧み、普段は、ネタの小説よりもその先輩の分析が面白い!ってことが多いんですけれど、その時は違った…。先輩も、「まあ騙されたと思って…」なんて苦笑い。もちろんそれなりに、村上龍との比較話もあったんですが、それより、この劇画的な小説の構成と、それだけに収まらない実直な物語世界の二重構造に、ちょっと頭の堅い御仁なんかも、「いやあ、目から鱗だったよ」なんて大いに感心、その後の呑み会も無茶苦茶盛り上がったのでした☆
 そうそう、二重構造っていう枠組み繋がりでは、村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』なんかと比べて、二重におかれる世界のリアリティ(もしくは通俗性)という点においては、こっちが成功してるよ☆なんて声もあったな。
 はい、酒の肴にするので、いろいろ暴言もありましたよ。褒め言葉だけじゃないです(笑)。でも、私はとってもおもしろかった。会合の途中から、いつもは夢中で聞く先輩の話もそっちのけで、本にばかりくらいついてたもん(笑)。


 いや……、だから、ほんま、まさか・まさか。ですよ。びっくりしました。もちろん読みながら、いろいろかぶるなあ、とは思ってたんだけどね(そうなんです、かぶるんですよ、いろいろ…)。だって、まさかこれが…。


 あの…、髪型なんてね、それは二の次でいいですよ(笑)。まじにそんなん、どっちでもいいですよ。小説ではもちろん短いながら坊主じゃないって感じだけど。坊主でもいいし伸びてたっていい。それより何より、この、二重構造の、全く「異世界」の各リアリティを、「身体一つ」で表現できる、そりゃあ…、当然…、もう……でしょう。




 帰り道に立ち寄った本屋さんで、帯に未來さんのコメントが掲載された新版が、すでにずらっと出てました。えっと、あの、これ、どういう扱いなの?本の話ならしていいのかな(苦笑)。