PARCO歌舞伎『決闘!高田馬場』(3/5 昼公演)@渋谷 PARCO劇場

 行って来ました!懐かしのパルコ劇場。身体が道を憶えていたよ(笑)。
 ランチは懐かしのB1のビールバー。ひとしきり、虹やらジュニアや丼やらの話題で盛り上がり*1、観劇組*2は9階までのエレベーターへ。これも懐かしいぜ…(笑)。

作・演出 三谷幸喜
出演   市川染五郎市川亀治郎中村勘太郎 /
     市川高麗蔵松本錦吾澤村宗之助 /
     市村萬次郎


 いやあ、おもしろかった!ほんっと、おもしろかった!!
 歌舞伎役者ってすごい☆と、唸らされました。
 普通の歌舞伎の演目は、何年かに一回見る程度の素人観客なんですけど、それでも見ればおもしろいな!すごいな!きれいだな!ってもちろん思います。でもね、今回のは、古典とは全然違うのに本質でまぎれも無く「カブキ」。新作歌舞伎だからこそ発揮される、歌舞伎役者の底力みたいなのを、圧倒的に感じさせられちゃいました。まさしくみんな「カブイ」てました。


 動作が美しい、決まる。テンポがいい。人情の機微がバチン☆と決まる。
 もう、これは役者さんの身体に滲みて滲みて滲み込んだものに他ならないでしょう。でもその中に、ちゃんとクスリと笑える時事ネタが入る(笑)。この辺りも、歌舞伎らしい。ああ、ほんっとみんなうまい!それしか言えないや(苦笑)。早変わりも鮮やか!見事!やんややんや☆です〜。こんなの見ちゃうと、この間の『間違いの喜劇』の「早変わり」なんて、お遊びに思えてしまいます。うーん…大人と子供程も、違う、よ…(いやまああれはあれで楽しかったけれど…)。
 そんで声もいい。もちろんマイクなんてつけてません(笑)。滑舌の良さは言うも愚か。小気味良い江戸弁と、時代がかった台詞回しが交錯して、それがしっかり耳に届く。で、合間合間に、三谷さんらしい、ほんとに可愛いお遊びが入る…、もうそんなあれこれを思い出すだけで泣けちゃうぐらい愛しい…
 冒頭とラストに配される「走り」。またこれが印象的できれいだった。パンフレットにも、この「走り」が効果的に配されてて、それがまた、どれもこれも決まっててねえ…。ため息ものです…。 


 パンフレット読んで面白かったのは、三谷さんが書いて来た登場人物の台詞を、その場で若い役者さん(染五郎勘太郎亀治郎)が、どんどん昔風(江戸時代の江戸弁)の言い回しにに変えていく、というくだり。「キャラクターが鮮明な三谷さんの本だからこそできること☆」なんて役者さんは返してますが、いやあ、身体に歌舞伎の世界が滲み込んでいるからこそ、できる芸当ですよね…。感動しました。で、とってもおもしろいと思った。
 また、歌舞伎の通常の舞台だと、稽古1ヶ月なんてあり得ない、たいてい2、3度合わせていきなり初日だ、という発言も興味深かった。これも、普段から、子供の頃から、毎日毎日稽古して、先達の芝居を見て、舞台を見て、身体に滲み込んでる「間」が共有されているからこそ、できることですよね…。


 いやあ、ほんっと、歌舞伎 畏るべし!
 古典演目見る以上に、今日の舞台で、それをつくづく思いました。おもしろい!


 もう一回でも二回でも見たいけど、手に入れる術が無いのがつらい(苦笑)。でも、きっとDVDになるよね…。それを、待とう(涙)。


【番外編】
 ーーーで、この歌舞伎の所作、日舞の「息」、誰かさんがマスターしたら、とんでもなく良いだろうなあ…、なんてことで、観劇後は盛り上がっちゃったのでした(笑)。ほんと、すごくきれいだろうなあ……(エンドレスリフレイン…)…。





****以下は、ちょいとネタバレギリギリの感想****

 ストーリーは、堀部安兵衛高田馬場助太刀物語を、三谷さんらしい人情話に仕立ててます。さらに、現代から俯瞰する歴史観をそこにうまく絡ませて、ちょいとクサくなりがちなオチを、照れないあたりで上手に切り抜けてます。古典的な歌舞伎の見せ方なら、逆にそれははなからお約束の範囲内、「この話はこういうものよ☆」で終われる側面も有るんだろうけど、こんな新作だと、得てして話が偽物臭くなりがち。だって結末はみんなわかってるんだし、一種予定調和的な匂いが際立つ恐れも…。
 それを回避するのに、工夫が要ったことだろうと思います。長屋の人達のラストのあしらいは、その工夫の結果だったのかな、と思ったり。

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*1:tomkoさん&だりやさん。

*2:t&m