今日の喜びについて(独り言です)。

 すこーしだけ,表地の自分について書くことをお許しください。この日記では,それには触れない宣言してたんですが…。


 せめて畳んでおきますね。


      ☆☆☆★☆☆☆★☆☆☆
  

 今朝,朝ご飯を食べながら,女子フィギュアスケートの映像を見ていました。その時には既に荒川さんの金メダル獲得はわかっていて,そうか,これが金メダルのスケーティングか,なんて思いながら見ていました。


 彼女は滑ります。ダイナミックに誇らしげに幸福そうに力強く。手の動き,身体のしなり,空気が彼女の周りに渦巻いているのがわかります。
 見ているうちに,何とも言い難い感動が押し寄せて,完全に食事の手が止まってしまいました。


 彼女が,「今」ある力を存分に発揮し,その身体と心が,彼女の思うがままに躍動し表現しているまぶしさと,そしてそのことに,彼女自身がこの上もない喜びにはちきれそうになっている,そんな,輝くばかりのエネルギーが,まっすぐ私の心を打ちました。
 思わず,涙がこぼれそうになりました。かんころ餅を食べてる最中の,ながら観戦の単なる一視聴者なんですけれど…(笑)。
 そのキラキラした歓喜の力に,否も応もなく胸を打たれてしまいました。



      ☆☆☆★☆☆☆★☆☆☆



 職場に来ました。
 私のオフィスの書類受けに,一本の原稿が入っていました。
 私の所にいる青年が仕上げてきた,初めての仕事でした。82年生まれだから…,未來さんより二つ年上ですね。
 午前中,別の仕事が忙しくて読む時間が無く,昼食の時にでも読むかと,それを手にしてレストランに行きました。少し混んでたので,幸い,待っている間に読む時間がありました。



 ……驚きました。すごく良い仕事になってるんです。先週,書き直しを命じた時,顔を真っ赤にして唇を噛んでた姿が一瞬脳裏をよぎりました。
 原稿から目が離せない。どんどん読まされます。つぶつぶと文字が躍り,問題点が明白になり,もちろんそれが全て解決されている訳ではないものの,彼が持っている問題意識とそれに取り組む情熱が,まっすぐ文章の中にほとばしっています。
 

 いや,泣くような内容の仕事じゃないんですけどね,一瞬,目の前が霞んでしまったことを白状します(苦笑)。
 この一週間の間に,彼が注いだはずの心血と,直面したであろう自らの限界,それを打ち破ろうと山のように推敲を重ねたに違いない時間,そして,その中から,確かに一つのスタイルを獲得している成果…。
 先週とは比べ物にならないエネルギー溢れる仕事を前に,彼が,間違いなく,新たな一歩を踏み出したことを痛感しました。


 ……こんな風に,1人の人間の新しい一歩に立ち会えるのも悪くないな。
 長くこの仕事をしてますが,初めてつくづくとそんなことを思いました。


 食事から帰って彼をオフィスに呼んで,「頑張ったね☆」と声をかけました。「ありがとうございます」なんて言いながらまた赤くなってるのがかわいらしい。
 本人は,自分が価値ある仕事を仕上げたことに,まだ気づいてないようです。やっとOKが出て一安心くらいに思ってるんだろうな(笑)。この仕事が公になって,何らかの反響が有って,彼は初めて,自分の書いたもののもつ力と,自分に帰す責任のことを理解するんでしょう。そこから彼の経験が始まるって訳です。いまはまだ無我夢中の状態でも,必ずその時が来る…。




 一つの集大成として自らを表現しきった荒川さんの大きな喜び,初めて自分の力で何かを仕上げた青年のささやかな喜び。それが,今日,私の前で一つに繋がったように思えて,どうしようもなく,嬉しかった,んです。私が何かをしたわけじゃないんだけどね。でも,これまで自分が何かを仕上げた時とは異質の「喜び」みたいなもんを感じたような気がして,ひとことだけ,書き残したくなりました。
 
 
 負けてはいられないな。
 なーんて思ったちょっと暖かい今日の一日。


 読んでくださった方,こんな独り言におつきあいさせてごめんなさい。もう,しません(笑)。