メッセ更新


 …動悸が。
 ほんとにもう、どうしてこの人は、その姿や表情や一挙手一投足そのものがキリキリ切ないくせに、その上に、文字にすることばまでもがこんなに胸の中心をぐさりとえぐるかな。


 とりあえず、何があったの?と、心配そうな響きの言葉が口からこぼれそうになるのは、飲み込んでみます。
 そう、こういうことを文字にすること自体が、あらゆる事どもを呑み込んで前に進みつつある証なんでしょう。彼ぐらいの年齢では、考える事と生きる事は同じ事で、彼はそれに加えて演じる事踊る事がある。そんな中でその鋭利な感性は、何かが起きても、その具体的な物事にまっすぐ大きく反応して、体中に沁みわたらせて七転八倒し、それをもぐもぐ食べて消化して、まずかったり苦かったり吐きたかったりしながら、ドロドロになって砂埃の中から這い出してコックリ俯いて泥を払い…。次に顔を上げたら、きっとほらあの目のない笑顔ですよ。


 あれやこれや考えてたら、そういうと、私もこういうこと、よく考えるな、少なくともよく考えてたな…って思い出されて来ました…(汗)。
 ボロボロの鞄に有らん限りの過去や現在や未来さえも詰め込んでそれを胸に抱きすくめて、抱いた胸が焼けそうに痛くて、でも止まらずに走って突っ切ってやろうって、確かに思ってた。青い青い私。でも…あの時の私は、明日に胸を張り素敵に穢れてやる、とまでは思い到らななかった。どこに走ったら良いのかもあまりよくわかってなかった。ともかく走ってれば何とかなるとしか思えず…。自分の近い将来なんて何も見えなかったし、もっと奈落と隣り合わせの気分でいた。だってさ、ただの文学青年な学生の身にとって、明日って底なしのブラックホールだった。


 あんな一言を、ぷいっと投げ出せる彼は、とてつもなく強い。