『演劇ぶっく』2010年2月号(vol.143)

演劇ぶっく 2010年 02月号 [雑誌]

 風邪で籠もる覚悟で買いに行きました。表紙がまぶしすぎて一瞬わからなかったわ〜〜。
 かーわいーなー!かーわいーなー!
 記事はp.6〜10。ページを開いて最初の横顔も、美しいですよん。睫毛と鋭角の鼻梁に見惚れます。こんな花柄スーツ(ど派手!笑)が似合っちゃう25歳なんて!性別不詳っぽい感じもまた良いです!
 いやあ、久しぶりにおめかしさせてもらってる感じが、嬉しい嬉しい。
 
 記事は、「その街のこども」を巡って震災と自分、そして2009年の舞台を振り返る、という流れで進んでいます。で、この記事がすべてホントに面白い!!実際に演じた者しかわからない世界を語っていて、何かいろいろ目から鱗でした。
 『RENT』については、作品としてのある種の未完成さが魅力的なんだ、と彼は言います。それがすごい説得力です。曰く、作品が留める「余白」、それを役者が自らのパーソナリティを注ぎ込んで埋めようとする、そのことによって(作品から)抜け出せなくなるし手放せなくなる。それは同時に極めて内省的な作業でもあって、(内面の)フラストレーションを吐き出すエネルギーが強ければ強いほど、作品が光る・・・と(要約 by mmooh)。
 いやあ、演じた人間にしか語れないことばって、こういうのを言うんだなあ。本質に「肉迫」するって感じ・・・うまく言えないけれど(苦笑)。これを読んで、ちょっと感動してしまいました。
 役柄を作品を身体全体で感じ、咀嚼して、「ことば」でも客観的に語ることができるんだなあ。この人、やっぱすごいや。
 
 同様に、『ネジと紙幣』に関しての述懐も、演じた人間ならでは、と思わせられてズシンと響きました。「食う」かあ・・・。これはすごい解釈だわ。切り捨てるんじゃなく「食って取り込む」、と・・・。いやいや、すごい。この彼の実感を、近松研究者に教えてあげたいくらいだ(苦笑)。
 「頭の後ろに血が溜まっていくシンドさ」、というのも生々しかったです。油が象徴する、ドロリと濃密で逃れられない負の連鎖に、演じる人間までもが日常に連続した地平の上で削り取られていく。“それこそが日本の古典が持つ力です”と言ってしまうのは批評家だろうけれど、それを彼は毎日身を以て体験していたわけで・・・。それを「頭の後ろに血が溜まる」と形容する、その視線は肉体的でもありかつ思索的でもありーーこれは少し角度を変えると「主観的でもありかつ客観的」ってことにもなるのかなーー、「ネジと紙幣」にまつわる彼の発言に一貫する「客観と主観のバランス」という主題にも通じてくるのがおもしろい・・・なんて言うのも批評家的過ぎますね(苦笑)、すみません。

 他には、『R2C2』のもつ「恥ずかしがりや」な空気と、直球テーマを斜めからやる宮藤さん、という観察もなるほどなるほどでした。でもまあこれは観ている側からでも或る程度感じられたかな。だって、宮藤さんって、そういうところ、すごくわかりやすいんだもの(笑)。
 
 彼の『変身』(小説本)にはどうやらいっぱい付箋が貼ってあるようです。それ、見てみたいなあ〜〜なんてふと思っちゃいましたよ(笑)。
 
 ともかく、大満足の表紙&記事、でした。
 他にも、粟根さんの人物ウォッチング、インディさんの小道具研究所、どれも読み応え有って大満足でした。堤さんもかっこいいし♪